[13]燦然と輝く日々
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「あとあれだな、水族館!」
「あ、私ペンギンが見たいです」

ナマエが土方さんと別れてから3ヶ月。
俺たちはまた、以前のように仕事上がりに良く飲みに行くようになった。
俺はもう遠慮することなく誘うし、ナマエもそれを断らない。
そうやって俺は、もう一度距離を縮めようとしていた。
同じ過ちは繰り返さない。
悠長に構えていて、また横から掻っ攫われたんじゃあただの間抜けだ。

「お前、意外と可愛いとこあんのな」
「ちょっと、どういう意味ですか!」

だが俺は知っている。
ナマエの中にはまだ、土方さんがいる。
二人の別れ方について、俺は何も聞かなかった。
ナマエが俺に説明した、喧嘩別れではないから大丈夫、ということしか知らなかった。
別に、そこを詳しく聞こうとは思わなかったし、何となく分かっている気がしていた。
つまりナマエは、決して土方さんを嫌いになって別れたわけではない、と。

「冗談だって、怒るなよ」
「じゃあお詫びに水族館も連れて行って下さいね」
「もちろんだって」

それでも、今一番近くにいるのは、土方さんじゃない。
俺だ。
だったらみすみす逃す手はない。
土方さんじゃ、こいつを幸せには出来ない。
だったら俺が貰ったっていいだろう。
悪いがこっちも、3年半の片想いは伊達じゃない。

「ペンギンショーも見せてやるよ」
「もう、原田さん!」

相変わらずこいつにとっちゃ、俺は頼れる兄貴分かもしれない。
だが、俺は決めていた。
この夏でひっくり返してやる、と。

「で、ペンギンのキーホルダーだろ?あとは…」
「怒りますよっ」

見てろよ、ナマエ。
絶対お前を、落としてやる。

「ああ、ぬいぐるみも買おうぜ」
「いりません!」

つらかった分、俺が笑わせてやる。
もういい加減、土方さんから解放されていいんだ。

「ほんと、可愛いよお前」

いい夏になりそうだろ、ナマエ。



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