[9]あの日々の記憶
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「もうすぐ夏かあ」
「ですね。梅雨が明けたらすぐですもんね」
「海行くか、海!流石に潜るのは無理だが、サーフィンなら行けるだろ」
「わ、いいですね。でも私、そんなに上手くないですよ?」
「大丈夫だって!要は気持ちの問題だろ?」

それに、実を言うと俺もそんなに上手くないんだ。
そう付け足せば、ナマエは可笑しそうに笑った。
今年の夏はこいつと海に行くのもいいかもしれない。

俺にとってナマエは、とにかくギャップが魅力的な女だ。
最初の頃は、大人しくて物静かな女、なんて印象だった。
しかし最初に行った居酒屋で、とりあえず酒飲みだってことが分かった。
それだけで、意外に思ったのだが。

たまたま俺が、スキューバダイビングのCカードを持っているという話をしたら、ナマエは目を輝かせて私もだと言ったのだ。
驚いたなんてもんじゃなかった。
俺は、ナマエは絶対インドア派だと思っていた。
まさかスキューバダイビングをするような女には見えなかったのだ。
しかしよくよく話を聞いてみれば、ナマエは大のレジャー好きだった。

サーフィンもするし、スキーやスノーボードも出来る。
ついでにキャンプや釣りも好きだという。
思いっきりアウトドア派だ。
ちなみに、学生時代はずっとチアリーダーをやっていたと言われた。
なるほど、そりゃスタイルがいいわけだ。

スポーツは一通り見るのもやるのも好きな俺と、話が合わないはずがない。
酒のこと、スポーツのこと、趣味のこと。
俺は女相手に自分の好きな話が出来るなんて初めてで、馬鹿みたいに盛り上がったのを覚えている。


まあ後から思えば、それが裏目に出たのかもしれない。



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