世界は鼓動を重ねる[2]淡いオレンジが、辺りを包み込む。
床に叩きつけられる水音。
立ち上る湯気に、視界が徐々に曇っていく。
シャワールームの中、髪を泡だらけにして洗っている。
それだけなら、いつもと何ら変わりないのだが。
そうではない。
先程から感じる、纏わり付くような視線。
隣りのバスタブで、優雅に寛ぐバーニィの姿。
それだけで、体温が上がっていくような錯覚。
一緒にお風呂に入りませんか、その言葉は。
文章に反して、決して提案などではなく。
抵抗を許さない決定事項だった。
さらに、バスルームに入って衝撃の一言。
ナマエが洗っている姿を見せて下さい、ときた。
どうしてこの人は、アルコールが入ると変態気質になるのか。
熱視線を浴びながら、とにかく早く済ませてしまおうと。
羞恥を振り払って髪を洗い、シャワーで泡を流す。
コンディショナーを3プッシュ、髪に染み込ませて。
身体用のタオルを手に取ったところで、それまで黙り込んでいたバーニィが不意に口を開いた。
「俺にやらせて下さい」
その言葉に思わず、ずっと見ないようにしていたバーニィの方を振り返る。
ちょうど、にっこりと笑ったバーニィがバスタブから出てきたところで。
当然ノーとは言えなかった。
タオルを泡立たせたバーニィは、私の背後に回ると。
背中にタオルを当てて、優しく擦り始める。
背中、腰、腕、と順番に洗われて。
「こっち、向いて下さい」
そう言われて身体をゆっくり反転させれば、真っ直ぐに見つめてくるバーニィの視線にぶつかった。
恥ずかしくて、慌てて目線を足元に落とす。
タオルが首を、鎖骨辺りをなぞっていって。
ついに胸に触れた。
やわやわと、タオル生地に紛れてバーニィの指が当たる。
その動きは最早、身体を洗うという目的からは逸れていて。
「…や、ぁ…」
しつこいくらいに愛撫され、じわりと熱が上がる。
「綺麗にしないと、ね?」
その微笑みは優しいのに、やっていることは意地悪だ。
「も…っ、やだ…」
ようやく私の抵抗を聞き届けてくれたバーニィが、小さく笑ってしゃがみ込む。
そのまま、太股から下までゆっくりとなぞられて。
両膝が震えた。
「ああ、ここもですよね」
下からバーニィに見上げられるという、あまり経験のないシチュエーション。
すっ、と股の間に手を差し込まれて。
彼の指が秘部に触れた途端、くちゅり、と濡れた音がした。
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