君と僕だけのもの[2]
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最近のマイブームは、なんてリポーターに聞かれて。
ちょっと悩んだ素振りを見せるバーニィを、画面越しにぼんやりと眺めていると。

突然、右手の中のマグカップを取り上げられる感覚。
あれ、とその行方を視線で辿れば。
白のマグカップは、私よりも大きな手の中にあった。

その手の持ち主の顔を、見上げてみると。
眉間に皺を寄せた、あからさまに不機嫌な表情にぶつかって。
一体どうしたのかと首を傾げる。

「バーニィ?」

私から奪ったマグカップ片手に見下ろしてくるバーニィが、なぜ機嫌を損ねているのか。
その理由を問おうとしたら、先にバーニィが動いた。
ばち、と音を立てて消えたテレビ。
真っ暗になった液晶を、ぽかんと見つめていると。
些か乱暴な音と共に、マグカップがテーブルに置かれて。

突然身体が倒れ、背中に柔らかい感触。
目の前に広がるのは、見慣れた白い天井。
押し倒されていると気がつくまでに、幾分か時間が掛かった。

バーニィがソファに膝を立てて、覆い被さってくる。
レンズ越しの翡翠に射抜かれて、視線が逸らせなくなった。

「そんなに、格好いいんですか?」

いつもよりずっと、低い声。
顔の横に垂れた金髪が、その表情に薄い影を作る。
顔の横に両腕をついて見下ろされて、喉が圧迫されているような錯覚を起こした。

「そんなに熱心に見つめて」

吐き捨てる、とまではいかなくても。
冷ややかな声音を突き付けられて。
状況が飲み込めずにただただ見上げるだけの私に、噛み付くような口づけが一つ。
唇を、歯列を舌先で割り、侵入してくる。
口内をたっぷりと蹂躙されて、ようやく唇が離れる頃には明らかに酸素が足りていなかった。

はあ、と荒い呼吸を数回。
生理的な涙で若干滲んだ視界の中、バーニィの不機嫌そうだった表情が寂しげなものへと変わったのが分かった。

「本物が、目の前にいるのに…?」

まるで、縋り付くように。
私を見下ろして、ちょっと泣き出しそうな声で。
降ってきた台詞に、ようやく合点がいった。

バーニィの考えていることが、この行動の意味が分かった瞬間。
もう、可笑しくなって吹き出した。
くすくすと笑うと、バーニィが睨みつけてくる。
だけど、瞳の奥に潜むのは愛を求める孤独さで。
だから何も怖くはなかった。

でもまさか、テレビの中の自分自身に嫉妬するなんて。
ちょっと嫉妬深いな、とは思っていたけれど。
さすがにこれは予想を上回る。


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