君とコーヒーを[1]
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秋口の、ある朝。


6時に目覚まし時計のアラームで起床。

シーツの中から手を出して、まずは耳障りな音を遮断。
身体中が気怠いのはきっと、3時間しか寝ていないからだ。
昨夜、研究室に夜遅くまで残ったせいで。

1日が24時間しかない、というのは非常に短い。
やりたいことは、主に仕事関係だということが寂しい話だが、たくさんあるのに。

もぞり、とベッドから起き上がる。
フローリングに素足をつけると、足の裏からひやりとした冷たさが染み込んできた。
もう、冬が近い。

身を縮こまらせながら、まずはキッチンへ。
コーヒーメーカーをセットして、その間に顔を洗う。
いつもならばトーストとサラダも用意するところだが、今日はコーヒーだけ。
マグカップに注いで、ブラックのまま一口。
脳が覚醒を始める。

リビングのソファに腰掛け、立ち上げたパソコンで主要なニュースだけを確認。
今日は特に何もなさそうだ。
シュテルンビルトは平和そのもの。

コーヒーが半分くらいまで減ったところで立ち上がり、再び寝室へ。
ウォークインクローゼットの扉を開き、吊されたパンツスーツの中からグレーをチョイス。

綺麗にアイロンをかけたブラウスの袖に、腕を通す瞬間が好きだ。
ボタンを留めてパンツに脚を通し、ジャケットはハンガーに吊ったまま玄関に。
化粧台で薄めのメイクを施して、髪を梳かす。
いつもと同じ、出勤の支度。

最後にコーヒーを飲み干して、マグカップをシンクに。
帰ってから洗おう。

玄関でスーツの上着を羽織る。
まだコートは必要ないだろう。
鞄を肩にかけ、パンプスを履いて。

いつもより30分早く、私は家を後にした。


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