親しき友に[１]


ほら、もっと飲めよバニー

飲んでますって！ちょっと、そんなに注がないで下さい！


いいから、いいから

なにがいいんですか、まったく


酒ってのはなあ、がっつり飲むもんなんだ。そんなちびちび飲んだら失礼だぞ

虎徹さんの持論を押し付けないで下さい。僕から言わせれば、缶ビールをそのまま飲む方が失礼ですよ


お堅いなあ、バニーちゃんは

僕はバニーじゃない、バーナビーです


聞き飽きたって

僕も言い飽きました


いいだろ、バニーで。あ、お前ひょっとしてバーニィって呼ばれたいのか？

…鳥肌が立ちました。その声でその呼び方はしないで下さい


お、ナマエ専用の呼び名ってか？

当たり前です


惚気るねえ。…順調なのか？

見てたら分かるでしょう？


まあなあ、無駄にいちゃついちゃってよ

僻まないで下さいよ


そんなんじゃねーって。ただ、よかったなあって

…？


お前言ってただろ？怖いって

…記憶にありませんね


ははっ、強情なやつ

…今もまだ、怖いです


…そうなのか？

はい。…ナマエを、独占したくなる。壊しそうになる。好きすぎて、怖いんです


…バニー、知ってるか？それが、幸せってやつなんだぜ

ええ、分かっています


ならいいんだよ。大体、あいつはそんな簡単に壊れるやつじゃないだろ？

そう、ですね。でも、思ってるよりもずっと、繊細です


…ああ、確かにな

僕の愛が重すぎたらどうしよう、と思うんです。いつかナマエが嫌になってしまったら、と


馬鹿だなあ、バニー

何がですか


ナマエはそんな女じゃない、知ってるんだろう？

…はい


あいつはな、こう言っちゃなんだが恋愛はいつも適当だったんだ。誰でも、何でもよかった。それが今じゃ、お前のために悩んで必死になってる。そんなことは初めてだ

…色々と、知ってるんですね


そりゃまあ、なんだかんだでもう10年だからなあ

貴方が、羨ましいです


馬鹿言うなよ。この先ずっと一緒にいるんだろ？

それはもちろんですけど


だったらそれでいいだろ。過去には帰れない。お前はこれからのあいつを幸せにしてやれよ

…貴方に言われなくても、そのつもりです


ははっ、だよなあ

…


なあ、ナマエのどこがいいんだ？

何ですか、突然


いや、やっぱり気になるんだって。どこに惚れたんだよ？

…たくさん、ありますけど。強いて言うなら、僕を真っ直ぐに見てくれるところ、だと思います


…

ナマエにとっては、僕がヒーローかどうかは関係ないんですよ。外面ではなくて、ちゃんと僕自身を見てくれた


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