たとえば君が傷ついて[2]「んーん、だいすき」
ちょっと甘えた声で、首筋に擦り寄って。
「虎徹さんがね、楓ちゃんのことで相談があるんだって。バーニィも一緒に行く?」
分かっているだろうけど、ちゃんと伝えておく。
何一つ、疚しいことなんてない。
私には貴方だけなんだと、その心に刻み付ける。
「…はい。でもナマエ、今は他の男の名前は聞きたくありません」
ちょっと不機嫌そうに、そう言われて。
さっきまでの不安げな声とは大違いだ。
いつの間にか彼の感情は、様々な色を纏うようになった。
子どもっぽく拗ねたり静かに怒ったり、余裕ぶって格好付けたり柔らかく笑ったり。
いつだってそこに、バーニィの現在があって充実している。
もう、過去を追ってばかりの彼じゃない。
「了解です、ダーリン」
クスクスと笑ってふざけてみる。
肩に顔を押し付けているから分からないけど、きっと真っ赤になって照れているはずだ。
容易に想像がつく。
「…あの、ナマエ」
恥ずかしそうに、小さく名前を呼ばれて。
それがまた面白いから、つい調子に乗ってしまう。
「なぁに、ダーリン?」
そこでようやく顔を上げれば、案の定バーニィは耳まで赤く染めていて。
「も…っ、それ、やです」
視線を泳がせて言い募る姿に、愛おしさが膨れ上がる。
ふと、感じた違和感に下を見れば。
そこには、私の脚の間でしっかり主張しているものがあって。
思わず、小さく笑った。
「責任、取ってください」
睨まれても、そんな赤い顔じゃ怖くない。
性的なことに無関心だった思春期があるからか、バーニィの性欲は底無しだと最近になって知った。
それを受け止めるのは、もちろん私の役割だ。
役得ってやつねと、内心で呟いて。
「おいで、バーニィ」
彼の好きな、とびっきり甘い声を耳元に落とした。
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