その祝福があらんことを[3]
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車から降りるとまた手を掴まれ、部屋まで引っ張って行かれる。
私が逃げるとでも思っているのだろうか。

部屋に入るなり、バーニィは私をソファに投げ飛ばしてその上にのしかかってくる。
いつもは紳士的なバーニィのそんな行動は初めてで、さすがに驚いた。

「…バーニィ?」

見上げた彼の瞳は、暗く濁っていて。
一纏めに握られた手首が痛かった。

「…貴女は、俺のものです」

熱に浮されたような、それでいてひどく暗い声。

初めて聞いた一人称。
すぐに悟った、本質はこちらだと。

「貴女に触れていいのは俺だけです」

剥き出しの独占欲。
圧倒的な力に、男を感じさせられた。

突然着ていたスーツの上着を脱がされて、下のブラウスを引き千切られた。
ボタンがフローリングに落ちた音。
見下ろしてくるバーニィの瞳は、欲に濡れていて。
背筋が、ぞわりと震えた。

「貴女は渡しません、誰にも」

そう言って、口づけられる。
今までみたいなフレンチキスではなく、舌で唇を割られて。
顎を掴まれて、無茶苦茶に口内を掻き回される。
それはとても拙くて乱暴で。

「…ふ…っ、ぅ…」

窒息しかけて、ようやく解放される。

「バー…ニ」

必死で息を吸って呼吸を整えている間に、バーニィは私のブラも外していて。
なんで無駄に器用なんだと、心の中で罵った。

「ん、んぅ…っ」

再び深い口づけ。
意識が朦朧とし始め、生理的な涙が流れる。
苦しくて、苦しくて。
それでもバーニィの舌を噛むことはできなくて。
その狂暴な感情を、必死で受け止めた。

「…は、ぁ…っ」

ようやく唇を離したバーニィが、私を見下ろして。
突然、手を離して私の上から飛び退いた。

「…あ…ナマエ、僕は…」

急に我に返ったらしい。
涙をぼろぼろと流す私の、掴まれて真っ赤になった手首を見て。
バーニィは肩を震わせた。

「…すみま、せん。こんな…っ」

まるで叱られるのを待つ子どもみたいに、瞳を揺らして俯いて。
泣きそうな声で謝られて、胸がぎゅう、と締め付けられた。

「バーニィ…」

名前を呼んで、力の入らない手を必死に伸ばす。
そっと、彼の頬に手を当てて。

「謝らないで、ね?」

この世の終わりみたいな雰囲気を滲み出すバーニィに、笑いかける。

「バーニィの好きに、していいよ。私は貴方のもの、なんでしょう?」

だから抱きしめて、と。
バーニィの身体を抱き寄せる。
触れ合った身体は温かくて、ほっと息を吐いた。


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