キスで確かめてこの愛を[6]
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やがて宗像がゆっくりと腰を引き、熱が移動する。
卑猥な水音を立てながら抜き差しされる欲望は硬く熱く、ナマエの中をこれでもかとばかりに蹂躙した。

「ひ、あぅ……ん、ん、ああっ、あ、」

ナマエの腰を掴んだ宗像が、揺さぶって突き上げてを繰り返す。
普段どんな現場でも汗をかくところなんて見せたことのなかった宗像が、汗を散らしながらがむしゃらに快楽を追い、そしてナマエに快楽を与えようと腰を振るさまを、ナマエは喘ぎながらも必死で見上げていた。
艶やかな髪を乱し、額に汗を浮かべ、頬を上気させ、歯を食いしばる。
高貴で優美な青の王からは程遠いその姿は、客観的に見ればもしかしたら格好悪いのかもしれない。
美しくはないのかもしれない。
だが、ナマエの目には何よりも愛おしく綺麗に映った。

「……ぅ……っは、ぁ、……ナマエ……っ」
「あ、ああっ、ん……っ、や、……し、つちょ、ぉ……っ」

宗像が上半身を倒し、ナマエの両手を掴んでシーツに縫い止めた。
無茶苦茶に唇を重ね、訳の分からないまま舌を絡め合わせる。

「や、ああっ、ん、あぅ……っ、ひぃ、…あっ、や、しつちょ……っ、そ、こや……っ、ぁあんっ」

恐ろしいほどの的確さで好い場所を突かれ、ナマエは身体を仰け反らせて喘いだ。

「……っは、……ナマエ、…な、まえ……っ、名前、を、」

すぐそばで乞われ、曖昧な思考でもその意味を正しく理解したナマエは必死で音を紡いだ。

「あ、っあぅ、ん、……れ、しさ……っ、ああ、……れーし、さんっ、礼司、さ……っ」

何度もその名を呼ぶと、中で宗像の熱が一層大きくなるのを感じる。
苦しいはずなのにそれが嬉しくて、ナマエは何度も宗像の名を呼んだ。
宗像の両腕がナマエの背に回され、強く抱き締められる。
互いに汗だくで、触れ合う肌はベタベタで、それなのに気持ちが良くて、幸せで、ナマエも宗像の背に手を回した。
きつく抱き締め合って、繋がって。
唇で、肌で、身体の一番奥で、互いの想いを重ね合う。

「……ナマエ……っ、もう、……っ、」
「ん、ん……きて、なか、……っあ、れーし、さ、……っ、なかで、いっしょ、あ、ぁあっ」

宗像の欲望から弾けた熱を薄い膜越しに感じながら、ナマエは世界が真っ白に染まるまでずっと、宗像の背を強く抱き締めていた。

意識が飛んだのは、一瞬だったらしい。
ふと気が付けば、ナマエの上にはまだ宗像がいて、しかも思いきりのしかかられていた。
脱力した成人男性、しかも身長百八十五センチは決して軽くない。
しかしナマエは軽く宗像の背中を叩いただけで、文句は言わなかった。

「……すぐに、退きますから。もう少し……もう少しだけ」

そう言って強く抱き締められてしまえば、それ以上の言葉も必要ない。
ナマエは黙って宗像を抱き締め返した。
やがて身体を起こした宗像は、なんとも複雑な表情だった。
恥ずかしそうにも見えたし、安堵しているようにも情けないようにも見えた。
でも結局正解は、幸せそう、なのだろう。
ちゅ、と可愛らしい音を立てて唇が重なった。

「身体はつらくないですか?」

宗像が、汗ばんだ額に張り付いた髪をそっと掻き上げてくれる。
多分大丈夫ではないだろうと思ったが、とりあえず今は頷いておくことにした。
宗像が起き上がり、自身から取り外したゴムをまじまじと見てなんとも言えない顔をする。
なるほど、二回目としては大した量だ。
そんな宗像を下から見上げ、ナマエは思わず噴き出した。

「そんなに笑わないで下さい、ナマエ」

少し拗ねたような声で窘められ、ナマエは余計におかしくなった。
でもすぐに、ナマエを想像して自慰をしていいのか分からなかった、と告白した宗像を思い出し、口元を押さえる。
笑いの代わりに込み上げてくるのは、柔らかな幸福感と愛おしさだった。

「しつ……、礼司さん」

隣に寝転んだ宗像に向かい合い、素肌の胸元に顔を押し付ける。
すぐさま抱き締めてくれる腕が、あたたかかった。

「好き。大好きです」

たくさん伝えたいと思った。
何事においても完璧で完全だと思っていた宗像が、ナマエの想いひとつを量りかねて不安になるのなら。

「……はい、ありがとうございます。私も、君を愛しています、ナマエ」

言葉も温もりも、たくさん重ねていきたい。
この、誰よりも愛しい人と、ずっと。






キスで確かめてこの愛を
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