キスで確かめてこの愛を[5]
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再び仰向けになったナマエの上に、宗像が覆い被さる。
何度もキスを落とし、胸を優しく愛撫し、やがて宗像の指がナマエの下肢へと辿り着いた。
腰を浮かし、宗像が下着を脱がせるのを手伝う。
視線を向けられただけで、中から蜜が溢れ出る気がした。
すでに濡れたその場所を、宗像の長い指が這う。
恐らくまだ、どこをどうすればいいのか分からないのだろう。
指の動きは拙かったが、宗像が触れているのだと思うだけで妙な背徳感と優越感がせめぎ合い、ナマエは充分に高揚した。

「……舐めても、大丈夫ですか?」

ナマエが先ほど宗像の欲望を舐めたからなのか、それとも本能によるものなのか。
陶酔した声で紡がれた問いに、ナマエは頷く。
顔を寄せた宗像の舌に全体を舐め上げられ、ナマエは大きく仰け反った。

「ひ、ぁう……っ」

それだけでなぜか宗像には、どこが良かったのか伝わってしまったらしい。
集中的に花芯を舐められ、ナマエは緩く頭を振った。

「……ん、ぁ……あ、や……ぁん……」

想像を絶する感覚だった。
これまでに、宗像とのセックスを思い描いてみたことはあった。
きっと優雅に例の涼しげな笑みを浮かべながら、終始表情を変えることなく余裕を保っているのだろうな、なんて考えていたのだが。
想像と現実は、天と地ほどもかけ離れていた。
普段王と呼ばれる人が気持ち良くさせようと必死に舐めてくれるなんて、そんなことは欠片も想像していなかったのだ。

「や、ぁ……ん、……し、つちょ、」

中が、寂しいと疼く。
宗像を呼べば、どうやら何となく察してくれたようだった。
これまでで一番慎重に、人差し指の先端が埋め込まれる。
恐らく、最も未知なる場所なのだろう。
内壁を擦りながら入り込んでくる指を締め付ければ、宗像が驚いたような表情を浮かべた。

「す、ごい、ですね………」

相変わらず、相槌の打ちにくいコメントだ。
指の付け根まで全て埋められ、奥を引っ掻かれて腰が揺れた。

「痛くはないですか?」

心配そうに覗き込んでくる双眸。
大丈夫だと頷けば、指がもう一本増やされた。
宗像の指が長いせいで、かなり奥まで刺激が走る。

「……ひ、ぁう……ん、んん……っ」

曲げた指で引っ掻いたり、ぐるりと回されたり。
宗像は相変わらずのハイスペックを発揮し、あっという間にコツを掴んでいく。
気が付けば指は三本になっていた。

「……や、あ、……っ、あ、しつちょ、……は、ああ……ん、……だ、も、だめ……っ」

零れた言葉は無意識だったが、宗像は律儀に拾ってしまう。
ぴたりと動きを止められ、そこでようやくナマエは自分の譫言に気付いた。
「だめ」は「いい」という意味だ、だなんて解説するわけにもいかず、ナマエは別の言葉で宗像を求めた。

「も……、なか、いれてください」

そう言って、先ほど欲望を吐き出したはずなのにすっかり大きくなった宗像の屹立を撫で上げる。
宗像は腰を震わせ、レンズの奥で瞳を揺らめかせた。
宗像が片手をベッドについて前のめりになり、もう片方の手でチェストの引き出しを開ける。
焦って失念していたのか、無意識なのか。
身体の位置がずれたことにより、宗像の欲望がナマエの胸元に当たる。
愛しさと悪戯心とを半分ずつに、ナマエは胸を寄せて宗像の欲望を挟み込んだ。

「う、……っ、あ………、」

かくん、と宗像の肘が折れ、上半身がナマエの上に落ちてくる。
ちょうど唇の位置に宗像の胸元があったので、薄い色の乳首を軽く舐めてみた。

「ひゃ、う……っ」

宗像が慌てた様子で跳ね起きる。
しかし、漏れた声はしっかりナマエまで届いていた。

「結構敏感なんですね、室長って」
「……言わないで下さい、」

先ほど枕元に落ちたコンドームの新箱を開封しながらナマエが笑えば、顔を真っ赤にした宗像が恨めしそうな視線を送ってくる。
キスをしたいけど遠いな、と残念に思いながら、ナマエは小包装を指で破った。
取り出したゴムを宗像の欲望に宛てがい、ゆっくりと包み込んでいく。
その様子を直視出来なかったのか、宗像が視線を逸らした。

「……なかに、下さい。しつちょ、」

根元を軽く握り締めて、強請る。
一度唾を飲んだ宗像が身体の位置をずらし、熱く滾った欲望をナマエへと擦り付けた。
宗像としては初めての行為に躊躇っているのだろうが、ナマエにとっては立派な焦らしプレイだ。

「や、しつちょ、はやく……っ」

耐え切れなくなったナマエが、なりふり構わず訴えかけた、その瞬間。

「ひ、ああああっ、あ、」
「……く、っ……ぅ………」

勢い良く押し込まれた熱は、そのまま最奥までを一気に貫いた。
動けなくなったらしい宗像が、ナマエの上で歯を食いしばり耐える。
ナマエはナマエで、突然の衝撃に飛びかけた意識を引き戻そうと唇を噛んだ。
瞼の裏で光が弾けたような、そんな衝撃だった。
ずしりと重く熱いものが、身体の芯を貫いている。
見て触った時点で分かっていたはずなのに、実際に身体の中に埋め込まれると宗像の屹立はより大きく感じられた。

「大丈夫、ですか……?」

ちっとも大丈夫ではなさそうな宗像の声に、頷くことで返事をした。
瞬きを何度か繰り返し、視界をクリアにする。
そこには苦しそうに、何かに耐えるように眉根を寄せた、でも幸せそうに微笑む宗像がいた。
紫紺は潤み、唇は歪な弧を描いている。
頬を上気させた宗像は、堪らなく幸せだという目でナマエを見つめていた。
その表情に、胸が締め付けられる。

「やっと……、」

単語ひとつ零すことで精一杯だったが、宗像はナマエの言わんとすることを察したらしい。
すみません、と小さな声で謝罪が降ってきた。

「ずっと、君とこうしたかった。いつも夢に見ていました。でも、失望されるのが怖くてなかなか言い出せなかった。……不安に、させましたね。すみません」

多分もう宗像は、今日のナマエの服装や行動の理由を察していたのだろう。
繋がったまま優しく頬を撫でられ、ナマエは幸福感に酔った。



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