拙い愛に包まれて[4]なんだろう、この可愛い生き物は、と。
そんな、本人が聞いたら確実にへこみそうなことを考えて。
気がついたら笑っていた。
「バーニィ、気にしすぎだよ」
まあ、男としては当然気になるのかもしれないが。
確かに誰だって、スマートにリードしたいだろう。
でも、私が彼を選んだ理由は、そんなことじゃない。
「私がバーニィに求めてることってね、そんなことじゃないんだよ」
別に、口下手でもいい。
容姿を褒めてほしい訳でもない。
「貴女が僕に求めてることって…、じゃあ何なんですか」
分からない、とバーニィは情けなさそうに俯くから。
まるで大きな子どものようだ。
私がバーニィに求めること。
彼が、彼らしく。
自分の正義の為に戦って。
幸せを、見つけてくれること。
ただ、それだけだ。
でもなんとなく、素直に言うのは照れ臭い。
だって、かなりベタ惚れなのがバレてしまいそうで。
だから。
ちょっと背伸びをして、バーニィの首に腕を回して。
引き寄せて、びっくりしてる彼の頬に小さくキスを。
「なーいしょ!」
そう言って、一気に恥ずかしくなって背を向けた。
歩き出せば、背後からバーニィの焦った声が追いかけてくる。
「ちょっとナマエ!?」
きっと真っ赤になって、慌てているのだろう。
容易に想像できて、頬が緩む。
「待って下さい!」
追いかけてくる、ブーツの音。
「…全く、貴女って人は」
やけに穏やかな声で、そう言われた気がして。
振り返って、笑った。
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