「 4  」

 そして、ようやく、アルスは回復してきたようだった。
 離別からだいたい一ヶ月経って、やっと。
 まだぎこちないが、笑ってくれるようになった。
 また、ガボの立ち振る舞いを正してくれるようになった。
 あの離別から一ヶ月間、ガボに対する注意は全くなかったが、ある日、とうとう、アルスの注意がガボに向いた。
「ガボ。人が居る前では、あんまりぼくを舐めちゃダメだよ、」と。
 注意をしてくれた時、ガボは涙が出そうだった。ああ、ようやく、アルスがおれの飼い主に戻ってくれた、と。

 この一ヶ月で、ガボはアルスの庇護下から離れざるを得なかったので、自分で人間社会を学んだ。そこで、一人称が「オイラ」から「おれ」になったり、時たま四本足で走ってしまう癖を直したりした。
 それでも、やはり、完全に人間になるためには、アルスが必要なのだ。
 アルスがまたガボに構ってくれるようになって、ガボは心から喜んだ。

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