「 6 」
近づくにつれて明確になる、彼の容姿。
明るい茶色の、ゆるい癖のある肩までの髪。
白い肌。細くしなやかな肢体。
女とも男ともとれぬ、中性的な魅力があった。
身長は、ナルトより5cmくらい上、といったところだろうか。まだ少年だ。
顔が判別できるまで近づくと、イルカは息をのんだ。
彼の顔は、きれいだった。
しかし、冷たかった。
筋の通った鼻梁、ぱっちり二重の大きな目、それを縁取る長い睫毛、すっきりとした顎、など、とても整った顔立ちをしている。それに、可愛らしげなたれ目だし、顔立ちだけ見れば、非常に甘く優しげな印象を受けた。
でも。
でも、彼の、どこか遠くを見つめる目は、冷たかった。
鋭利で冷え切った目をしていた。
すべての表情をそぎ落とした彼の顔は、とても冷たい。
鋭い刃物のようなものだ。この目で見つめられたら『殺される!』と思ってしまうかもしれない。
でも、なんて、寂しげな目だ…
どうしてそんな悲しげなんだ
「あの…キミ…」
思わず声をかけると、彼はハッと細い肩を揺らし、こちらを見やった。
そこには、先ほどまでの怜悧な無表情は無く、代わりに、とても暖かな笑みと優しげな眼をしていた。
――さっき俺が見たのは、幻だったのか…?
そう感じさせるほどの変わり身だった。
こんな優しいほほ笑みのできる少年に、あんな冷たい目ができるわけない。
彼は柔らかそうな唇を動かし、小首を傾げ、「こんにちは、センセ?」と柔らかく言葉を紡いだ。
とても、耳に心地よい声だ。女の子が弱いかもしれない。ほどよく低いテノールの声で、艶がある。美声というやつだと思う。
しばし見惚れていたイルカも、ハッと気づき、笑みを作った。
彼の身長に合わせ、腰をかがめる。
「こんにちは。俺はうみのイルカといって、気付いてるみたいだけど、ここの教師をしている。きみは?」
「おれは内海裕也といいます。そちらの生徒であるうずまきナルトの隣に住んでいます。」
『おれ』ってことは、やっぱり男だったのか。声も男声だし。
「へぇ! ナルトの隣なんだ? あいつの隣は空き部屋だったはずだけど」
裕也はサラリと答える。「ああ、ホカゲサマが手配してくださって、住めるようになったんです」
「へぇ、そう、火影様が! そっかそっか、」イルカは優しげな笑みを浮かべた。父親のような笑み。裕也の両肩に手を置く。「あいつと、仲良くしてやってくれ、裕也くん」
裕也も笑みを深くする。「もちろんですよ、うみの先生。少なくともおれは、そのつもりです」
そう言って、強く、頷いた。
明るい茶色の、ゆるい癖のある肩までの髪。
白い肌。細くしなやかな肢体。
女とも男ともとれぬ、中性的な魅力があった。
身長は、ナルトより5cmくらい上、といったところだろうか。まだ少年だ。
顔が判別できるまで近づくと、イルカは息をのんだ。
彼の顔は、きれいだった。
しかし、冷たかった。
筋の通った鼻梁、ぱっちり二重の大きな目、それを縁取る長い睫毛、すっきりとした顎、など、とても整った顔立ちをしている。それに、可愛らしげなたれ目だし、顔立ちだけ見れば、非常に甘く優しげな印象を受けた。
でも。
でも、彼の、どこか遠くを見つめる目は、冷たかった。
鋭利で冷え切った目をしていた。
すべての表情をそぎ落とした彼の顔は、とても冷たい。
鋭い刃物のようなものだ。この目で見つめられたら『殺される!』と思ってしまうかもしれない。
でも、なんて、寂しげな目だ…
どうしてそんな悲しげなんだ
「あの…キミ…」
思わず声をかけると、彼はハッと細い肩を揺らし、こちらを見やった。
そこには、先ほどまでの怜悧な無表情は無く、代わりに、とても暖かな笑みと優しげな眼をしていた。
――さっき俺が見たのは、幻だったのか…?
そう感じさせるほどの変わり身だった。
こんな優しいほほ笑みのできる少年に、あんな冷たい目ができるわけない。
彼は柔らかそうな唇を動かし、小首を傾げ、「こんにちは、センセ?」と柔らかく言葉を紡いだ。
とても、耳に心地よい声だ。女の子が弱いかもしれない。ほどよく低いテノールの声で、艶がある。美声というやつだと思う。
しばし見惚れていたイルカも、ハッと気づき、笑みを作った。
彼の身長に合わせ、腰をかがめる。
「こんにちは。俺はうみのイルカといって、気付いてるみたいだけど、ここの教師をしている。きみは?」
「おれは内海裕也といいます。そちらの生徒であるうずまきナルトの隣に住んでいます。」
『おれ』ってことは、やっぱり男だったのか。声も男声だし。
「へぇ! ナルトの隣なんだ? あいつの隣は空き部屋だったはずだけど」
裕也はサラリと答える。「ああ、ホカゲサマが手配してくださって、住めるようになったんです」
「へぇ、そう、火影様が! そっかそっか、」イルカは優しげな笑みを浮かべた。父親のような笑み。裕也の両肩に手を置く。「あいつと、仲良くしてやってくれ、裕也くん」
裕也も笑みを深くする。「もちろんですよ、うみの先生。少なくともおれは、そのつもりです」
そう言って、強く、頷いた。