「 4 」

 今まで完璧に避けられていたのに、まさかナルトの方から来る(しかも飛びついて来た)とは思わなくて、裕也の頭はしばし回転を止めていた。
 その間にナルトは、裕也の腕の中で、平素のごとくマシンガントークを始める。

「最近会わなかったから心配してたんだってばよー!」
「はぁ」
 よく言うぜ! 会わなかったのはあんたが会わなかったからだろ。
「この里に来たばっかりって火影のじっちゃんから聞いてたから何か困ってるんじゃないかって!」
 ホカゲ? ああ、里の連中の話にしょっちゅう出ていたな。で、結局誰なんだ? どこのじいさんだ?
「だって兄ちゃん、『今にも死にそうです』って目をしてるってばよ!」
「そう…」
 まぁ『死かニートか』だしな。

「それにしても、兄ちゃん、やせたってば?」
 裕也の腕の中にいたナルトが、裕也の腰に手を回した。「もともと細かったのに、3日前よりさらに細くなった気がするってばよ! ちゃんと食ってる?」
 ちゃんと食ってるって…うーん…何食ったっけ…
 誰かにふるまうときはきちんと調理するけど、食べるのが自分だけの時はろくな料理をしない。ナルトには手の込んだフレンチ料理をご馳走したが、自分の時は適当にカップ麺で済ませた気がする…おれもこいつのこと言えないな…

「兄ちゃん今からどこ行くんだってば?」
「あ、ああ…」ようやく活動を始めた頭。にっこりと、平素の微笑みを浮かべる。「いや、家に帰ろうかと思ってたんだ。もしかしたらあんたに会えるかもしれないと思ってね」
「いや、昼間は俺はアカデミーにいるから会えるわけないってばよ…」
 そこまで言って、ナルトの顔は真っ青になった。パッと裕也から手を離す。まずいことを思い出したような。「あああああ、そうだった! アカデミー!」
 アカデミー?
 あぁ、あの例の忍者養成学校か。
「アカデミーがどうしたんだ?」
「だから、昼間は俺、アカデミーなんだってばよ!」
 裕也はニヤッと笑む。「ああ、『寝坊した』って言いたいのね。」寝坊? 今朝おれが確認した時はいなかったよ、お前。

「そうだってば! 急がないと。じゃっ!」と、裕也の心中など知らずに裕也の横をすり抜けようとするナルトの腕を、裕也はつかんだ。
 突然止められてバランスを崩しかけたナルトは、裕也に非難の目をくれた。
「俺ってば急いでるんだけど!」
「ああ、悪い悪い。でも、おれもアカデミーに用事があってさ」
「家に帰るんじゃなかったってば?」
「いや、本当はアカデミーに行きたかったんだけど、道が分からなかったんだ。」ニコッとほほ笑む。「おれを連れてってよ、うずまき」
 これで昼間は毎日あんたに会えるんだろ?

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