バレンタイン企画 | ナノ
(英日)






「アーサーさん?どうかされましたか?」
 とっくに下校時間は過ぎているのに、廊下でソワソワしているイギリスに日本が声をかけた。イギリスは別に日本を待ってたりはしてないんだからな!と顔を真っ赤にさせて日本に言った。日本はこれがツンデレかと笑いを堪えつつイギリスの言葉を待った。

「あ、明日の件なんだが」
「明日・・・ああ、そうですよね。明日、楽しみにしていますよ」

 明日は日本の誕生日である。誕生日といっても何も変わったりはしない。ただの休日としか捉えていないのが事実だったりする。現に祖国である国民もその日だからといって、特別な事をするわけでもない。むしろその3日後のバレンタインの方を重要視したりする。所詮そんなモノなのだと日本は認識している。
なのだが、日本の次の日がスペインの誕生日というのもあったりするのか、国の者達が盛大なパーティーを毎年やってくれるのだ。ただ騒ぎたいだけなのではと思うのだが、嬉しい事には変わりはない。


「こ、これ先に渡しとく・・・、明日渡せそうにないから」
 
イギリスは日本の方を振り返り大きなバラの花束を渡してきた。絵に描いたような紳士とはまさにイギリスの事だと日本は考えていた。
何故前日に・・・と不思議にだったのだが、去年の騒ぎの事を思い出すと今日渡しすしかかったのだろうと日本は結論に至った。去年も同じようにイギリスは盛大な花束を渡してくれたのだが、お祭り騒ぎの中皆にもみくちゃにされてしまい、見事に散り散りになってしまっていたのだ。あの時のイギリスの残念な顔は一生に忘れられそうにない。


「ありがとうございます・・・、何時も思うのですが、本当に綺麗なバラですよね」
「・・・・お、おう」

 日本が出てくるまでイギリスはずっと教室の外で待っていたと想像をする。日本の顔が簡単に隠れそうなほど大きな花束を持ってたとしたらかなり目立っただろうに、と日本はそのイギリスの姿を想像して少し笑った。何が可笑しいんだ!とイギリスは顔を真っ赤にして日本に抗議した。



「アーサーさん、好きです」
「・・・・へっ」
「何時も言いそびれてしまうので、こういう時に言わせてください」
「・・・おう」
「アーサーさん、私のことお好きですか?」
「なっ・・・・す、好きです」
 
思わず敬語になったイギリスが面白くて、しかしそれ以上に何故自分がこの言葉を先走ったのかもわからないので日本自身も恥ずかしくなり花束の中に顔を埋めた。
イギリスのプレゼントは毎年必ず大きなバラの花束である。初めてもらったプレゼントのも花束で、そのバラの花束をリクエストしたのが日本だった。イギリスはそれをずっと覚えていて毎年一番綺麗なバラをプレゼントしている。


「来年はもっともっと沢山用意するから!」
「ありがとうございます。あ・そういえば、アーサーさんお聞きになりました?」
「何が?」
「明日は私が用意した衣装でいらして下さいね」
「・・・・へ?」
「去年はサッカーのユニフォームでしたが、今年は女装でお願いしますね。楽しみにしています」
「ちょ、に・日本・・・?」
「アーサーさん、私は本田菊ですよ?」

 明日ぐらいは私のお願い聞いてくれてもいいですよね?と日本はこれ以上ない笑顔を浮かべた。イギリスは顔面蒼白になり、今すぐ逃げ出さなければと思い走り出そうとしたのだが、日本はそれを許さなかった。


「私も女装するのに・・・」
「・・・・ほ、本当にか?」
「ええ、本当です。ですから明日楽しみにしてますね」
 その言葉にイギリスはうなずくしかなかった。日本は内心ガッツポーズをした。






(来年も期待してますよ、イギリスさん)

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