バレンタイン企画 | ナノ
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「ほら、もっと飲まなぁ!」
 ベルギーの勧める酒の数の多さに流石のオランダも、もう飲めないと判断をしてやんわりと断った。オランダは決して酒が弱いというわけではないのだが、それ以上にベルギーが強い。一時間前までは三人で食卓を囲んでいたのだが、いつの間にかロマーノはソファで潰れてしまっている。

「でも、お兄ちゃんが誘うとは思わんかったわー」
「・・・うるさい」
「昔っっっからロマーノには甘いんやからなぁ」

 ベルギーの言葉をさえぎる様にオランダは酒を飲む。ベルギーは笑いながらロマーノにブランケットをかけた。そして再びオランダの目の前の椅子に腰掛けた。


「ななお兄ちゃん、私たちが喧嘩した時ってどんな仲直りの仕方したっけ?」
「・・・覚えてない」
「うっそだあ、一番大きい喧嘩ん時は・・・うん独立の時かな。あん時は私めっちゃお兄ちゃんの事嫌いやったんや」

 今は笑い話として出来るのだが当時はお互いに目を合せない程にオランダとベルギーの仲は悪かった。独立したいベルギーと、独立をさせたくないオランダ。一触即発状態でその時ばかりはもう修復は不可能だと二人とも感じていた。
そんな時、二人の仲の間に入ってくれたのはスペインとロマーノだった。少しの間だが一緒に住んでたというのもあり、二人の仲を取り持ってくれた。
勿論その時は自分たち二人だけの問題ではないので、時間はかかってしまったのだが今はお酒を飲める仲まで関係を回復する事が出来た。

「私とおにいちゃんがまた話せるようになったんも、二人のお陰やから、ロマーノ達が喧嘩した時は絶対しよ〜と決めたんや。お兄ちゃんはどう?」
「・・・・スペインはいややざ」
「もー、それも昔話やないの。今週ぐらいは手伝ってくれてもええよね?今週はだって、ほら」
「うっ・・・」
「今年はロマーノもおにいちゃんも逃れられん運命やから」
 
ニッコリと笑うベルギーにオランダは顔をひきつらせた。スペインには全力で反抗するのだが、どうもベルギーには弱いオランダは丸め込まれようとしていた。毎年この時期は遠くに逃げ回っているのだが、今年は逃げるタイミングを失ってしまったのだ。

「・・・楽しんでるやろ」
「もっちろんやないの、11日と12日はお祭り騒ぎ〜て予定やから。でもその前にあの二人には仲直りはしてほしいなぁ」
 
ベルギーは携帯をとりだし、コールボタンを押した。2コールで出たスペインの声はとても弱っていた。


「あ、スペイン兄さん?今ロマーノがオランダ兄ちゃんの家に来とるんですけど」
『すぐいく!!!!』
 
ツーツーという通話終了を合図する音が聞こえて、ベルギーとオランダは顔を見合わせて笑った。次にロマーノが目が覚めた時は血相を変えているスペインの姿が目の前にあった。

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