バレンタイン企画 | ナノ
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 ロマーノが目を覚まし、一番に目に入ったのはオランダやベルギーでもなく今にも泣きそうになっているスペインだった。



「ほんまにごめん・・・」
「何が?」
 
ロマーノはまだ状況が理解できずスペインの謝りの言葉にそう返事をした。スペインは申し訳なさそうにとある物を差し出した。それは、ロマーノが激怒したきっかけでもある女性物の服だった。


「それっ・・・」
「ちゃうねん!もうあの時からもうオンナノコとは手は切ったし!」

 スペインがいうあの時とは、スペインの手癖の悪さにロマーノがあきれ果てもう良い≠ニ冷たく言い放った時だ。スペイン曰く、あのロマーノの目を見た瞬間世界が終わったかのように感じたらしい(少し大げさかもしれないけれど)


「信じてくれんやろうけど」
「し、信じれるわけねーだろが、アレから≠Pヶ月も経ってねーんだぞちくしょーめが」

 ロマーノはようやく目が冴えて来て、今居る場所がスペインの家だという事を理解した。大方ベルギーかオランダがスペインに連絡して、スペインが迎えに来たのだろうとまた二人のお節介だという事にロマーノは深い溜息をついた。


「これな、ベルギーの服やからっ、その・・・」
「はぁ!?ベルギーにまで手ぇ出してんのかよ、うわもう最悪」
 
ロマーノはもう何も考えられないほど頭に血が昇り、勢いよくベッドから降りようとした。
スペインの手に持っている花柄のワンピースは確かにベルギーがええやろ〜と自慢して自分に見せてた記憶が蘇ってきた。そして金髪の髪の毛がスペインの部屋に落ちていたというのも納得が出来る。まさかベルギーにまで・・・とロマーノは悔しさ以上に、何故今まで気づかなかったんだろうという情けなさも込み上げてきていろんな感情が入り乱れた。
しかし勢いよく立ち上がった瞬間立ち眩みが起きてしまい、ロマーノは体勢が崩れてしまい、視界が反転をした。
昨日の今日であまり寝ていないというのもあり、その上ベルギーに酒を飲まされてしまい、コンディションが最悪なのも納得できる。



「ロマーノッ!」
「うわっ」
 スペインは咄嗟にロマーノを引き寄せて、後ろから抱きとめた。転倒してしまうという事態は避けられたもののロマーノは離せ離せ!とスペインの腕の中で暴れている。


「絶対離せへんよ!だって、ロマーノ絶対誤解しとるし・・・」
「誤解なんてしてねーよ、もうベルギーん所いっちまえよ、ちきしょーめが」
「あんな、ロマーノの為にこっそりと用意したんや」
「・・・・は?」

 だってなーと、スペインはゆっくりと話始めた。ロマーノは真相が気になった(というよりも身の危険を感じた)ので、スペインの言葉一字一句を逃さないように耳に全神経を尖らせた。


明日の夜、日本とスペインの合同の誕生日パーティーを開き、そこで毎年何かしらの企画が開催される事になっているのは周知である。
去年はワールドカップというのもあって、サッカーのユニフォームを皆が起用するというのものだった。今年は何故か日本が女装を提案したらしく、パーティに参加する者は絶対に女装をしなければならないという企画が水面下で進められていたとの事。
衣装は日本が手配するという事になってたのだが、スペインがロマーノの服だけは自分が決めたい!と日本に頼みこんだのが事の始まり。
そしてベルギーがロマーノの似合う服を用意したるで〜と言ってくれたので頼むことにした。(かなり細かいリクエストをしたらしい)その服は当日ベルギーが持ってきても良かったのだが、スペインは1週間前ぐらいに持ってきてくれと言った。その服が運悪くロマーノに見つかってしまい、現在に至る・・・。



「嘘だろ絶対」
「嘘やない!ほんなら今すぐにでもベルギーにも日本にも確認したらええやん!あ、フランスやアメリカも企画しとったから、分かってるはずや」
「・・・じゃあ何で明日じゃねーんだよ」
「今日着てもらおうって思ってて。だって、明日はどうせパーティでいちゃいちゃ出来んやん?次の日は二日酔いで気分悪くなっとるやろうし、徹夜でヤるほどもう親分はもう若くないしなぁ・・・」
「いやいやいや、何の前提だよ」
「金髪のロマーノ見てみたかったし、それをベルギーに相談したら、めっちゃ可愛いの探したる〜言うてくれてなぁ」

 ロマーノは呆れてそれから先は言葉が出てこなかった。着てる服を脱がすのがオレの浪漫!とか言い出すという予想が安易に出来たからである。



「だってな、一番最初に見たいって思うやろ?だって、ロマーノの可愛い姿とかホンマは誰にも見せたないし・・・」

 せやから、今日だけはと思って・・・とスペインは段々が声が小さくなっていった。ロマーノは今だにスペインの膝の上に座っている。


「本当にごめん・・・・」
「また、浮気されたかと思って・・・、もう終わりだと思ったんぞ、ちくしょーめが。あの言葉忘れたのかと思って・・・」
「勘違いされるような事してほんまに悪かった!ロマーノの他にはもう何も要らんっていう事は分かって欲しい・・・あの時泣きながら約束したやんかぁ」
「信じられねーよ、ちくしょう」
「せやなぁ、信頼は簡単に回復するもんでもないしなぁ」

 ようやく二人は向き合い、ロマーノはスペインの、スペインはロマーノの涙を互いに拭いあった。そして、ゆっくりと近づきキスをした。互いに唇は完璧に乾いていた。



「でも、服を着るとは言ってないからな、ちくしょー」
「えぇっ、ええやん。服着てよ!お願いやから、この丈がええんや!って言うて、ベルギーにドン引きされたんやから」
「・・・・ぜってーやだ」
「絶対着てよ〜、後生やから〜、な、なっ?ええやん。むっちゃかわええやん。ロマーノ絶対似合うって〜」
「似合ってたまるか、ちくしょーめが!」


 次の日のパーティにスペインもロマーノも参加をしなかった為、12日の深夜にスペインの家に押しかけるとスペインのベッドで情事中である二人を目撃されてしまい、ロマーノが発狂したのはまた別の話。










ちなみに金髪だったので、ロマーノとは直ぐには分からなかったらしい。

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