バレンタイン企画 | ナノ
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(ほんまに、ちっちゃいなぁ〜)
(いつか大きくなって見返してやるからな、覚えとけよチクショー)



 廊下の窓際で凄く昔の思い出が蘇ってきて、ロマーノは人知れず溜息をついた。
「あれ、ロヴィーノやん、どしたん?珍しいね、遅刻せんときたんは・・・今日はアントーニョと一緒?」
 ロマーノが珍しく一限から学校に顔を出しているのは珍しい。赤いリボンが特徴的なベルギーは陽気に話しかけた。機嫌が悪いらしいロマーノはベルギーの顔を見ずに小さく違う≠ニいう返事だけを返した。

「偉い機嫌わるいなぁ・・・」
「んだよ、ベルギー。今日は!自分家に帰ってて、無理矢理ヴェネチアーノに強制的に連れられたんだよ」
「あー、暇なときは学校に来いって言われたって先生に言われたぁって言うてたもんなぁ・・・ってロヴィーノ!」
「なんだよ、もーうるせーなチクショー・・・」
「あかんやん、ベルギーって呼ばんといてよ!もしバレてしもうたら・・・・」
「殆どがオレら≠ンたいな奴ばっかじゃん」
「それでも言うたらあかんって!」

 ロマーノのオレら≠指しているのはベルギーやロマーノのように人≠ナはない国≠フ事だ。この学園には国である者達が学生に扮して学園に通ってきている。主に勉学というよりは国同士の交流が主な目的なので、学年はあがる事なく毎年同じ学年でこの学園生活を送っている。
勿論自国の仕事が優先なので、その事情をよく分かってくれる学園はここにしかないので殆どの者達が集まって来ている。なので大半は国である者達なのだが、その事情をしらない者達もこの学園に通っているので、学園では人名≠使うのが通例となっている。


「ちゅーか偉い機嫌悪いなぁ・・・しかも泣きそうになってへん?」
 不思議に思ったベルギーがそうロマーノに尋ねた。ロマーノは図星をつかれたのか、思いっきり頬を真っ赤に染めた。ロマーノが機嫌を悪くする理由は空腹かスペインかのどちらかが殆どである。
「アントーニョ?」
「・・・そう」
「今回の喧嘩の理由は?」




「あいつの部屋に女物の服があった。あと長い髪の毛も落ちてあった。しかも金髪」
「えええ〜・・・ってか、それはっ」
「もうせーへんって言いながら日本が教えてもらったらしいドゲザ≠オて謝ってきたから許してやったのに・・・ちくしょう、また騙されたっ」

 スペインの女癖の悪さは酷かった。
何も事情を知らないこの学園の生徒に手を出し、一度ロマーノとスペインの関係は絶縁状態まで陥った事があった。周りの介入もあり何とか解決して、落ち着いたかに見えた矢先の話だったりするのだ。
ロマーノは話をしだすうちに目から大量の涙が溢れ出し、子供のように泣き出した。廊下にはベルギーに視線が集中してしまい、まるでベルギーがロマーノを泣かしたように見えてしまうので、ベルギーはとても慌てた。そんな光景の中に日本が入ってきた。


「あの、どうかされたんですか?」
「あ、にほ・・・本田さん・・・あんなぁ、アントーニョの家に女の子の服と金髪の髪の毛が落ちてあったって・・・」
 ベルギーは苦笑いを含めて日本に言った。日本はベルギー表情で、ああ・・・とすべての事情を理解する事が出来た。ヴェネチアーノ含め、イタリア兄弟とは交流があるので、日本はロマーノの肩を叩いた。

「あの、ロマーノ君。私のお話聞いて貰えませんか?」
「な、んだよ、このやろー。もうアイツの名前なんか聞きたくねーからなっ」
「その服の事なんですが・・・」
「あー!あかんあかん!それを言うたら!」

 ベルギーは慌てて日本の手を引いて、ロマーノとの距離を引き離した。日本は目を丸くしてベルギーの方を向いた。

「これ秘密にしといて〜て言われてしもうてな・・・・。それにその話をロマーノの耳に入ったら余計に怒ると思うし」
「ああ・・・でも、この状況は・・・」
 ベルギーは口早に日本に説明してそれ以上を言わせないように宥めた。ベルギーのいう事も一理あるのだが、話がこれ以上拗れそうな気がしたので、日本は言ってしまおうと口を開いた途端、とある人物の影がよぎった。



「もうアイツん家いかね・・・今日は自分家に」
「じゃあ、俺家に来ね?」
「「「・・・・へ?」」」

 図体がでかく威圧感のあるオランダがロマーノに話しかけた言葉に他の三人は固まった。しかし付き合いの長いベルギーはオランダがロマーノを元気づけようとしてるのが分かったので、私も行くね!と手を上げてオランダの腕を掴んだ。
「今日はめっちゃお酒のんで、盛り上がろうや!私たくさん料理つくるし!」
「ちょ、仮にもここは学園ですから、飲酒の話は・・・」
 日本の最もな一言にベルギーはハッとしてすんませんと小さく謝った。


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