さっきスターに「これをトミーに渡してくれないか」と言われたため、トミーを探すはめになった。若干パシリくらった気分だけど、仕事と関連している分、副料理長の中でやはりスターがまともだ。サボりもしないし。美食會がまともと言うのもあれだけど。
トミー探索に出て一時間くらい経過しても見つからず、もう他の奴に押し付けてしまおうかと思った矢先、下っ端らしき奴がさっき解体部屋だか奴隷室だとかいう所にいたと言った。正式名称は無いが、IGOの奴を捕まえて拷問したり、気に入った人間を攫って好き放題するための場所らしい。わーえぐい。つまり、あいつはヤってるか殺してるかの二択か。前者だったら面倒だ。別に人の性行為を見たところでどうとも思わないけど、好き好んで見ようとは思わない。ああ神よ、頼むから後者であってくれ。神なんて信じてないけど。




「無宗教、はたまた普段の行いの悪さがいけなかったのかな…」


せっかくの願いは見事にスルーされたようだ。トミーロッドはお楽しみの真っ最中だった。書類を机の上にでも置いてこようか。いやでも以前それをやったら「は、書類?知らねぇよんな物」としらを切られ料理長に叱られたから二度とやらない。終わるまで待っとこうかな、どうせ暇だし見学でもしておこう。それにしても相手の人は美人だ。顔が恐怖と苦痛で歪み涙や涎や血に塗れていても分かるくらいだから、元は相当な美人に違いない。どうせ見るならその時の顔の方が良かったな。
というか、相手の女性四肢がぐちゃぐちゃなんだけど。千切られてるとか刻まれてるんじゃなくて、ミンチっぽくなってるんだけど。これは酷い。身体に繋がっているから苦痛があるぶん、まだ千切られたほうがマシだろうに。まぁどうせ殺されるし、どんな目にあおうがどうでもいいか。少なくとも私は。あ、腹とか口から蟲が出てきた。えげつない。



「……何でお前いるの、スロー」


やることやったら片付けもせずに出てきたトミーに開口一番に言われた。


「いたら悪いことでも?」

「別に。で、何」

「これ、スターから」

「何それ」

「ラヴレター」

「……」

「嘘だって」


「心臓に悪いから止めろ」と言って書類をひったくられた。そういえばこの前グリンに「スローが言うと冗談に聞こえねぇよな〜」と言われたな。まぁ、無表情だからしょうが
ない。私だってスターが冗談言うのを想像できない。何それ怖い。


「蟲姦っていうの、あれ」

「あ?」

「いやさっきの」

「どうでもいいだろ別に」

「まぁね」


美食會には色んなジャンルがあるようだ。セドルは目玉フェチ、ボギーはヤドカリ萌え。ん、一人は違う意味だっけ。まあ皆の性癖なんてすごくどうでもいい。それより私は昼寝したい。
それじゃ、と言ってさっさと自室に帰ろうとすると腕を掴まれた。あれ、今腕がミシっていった気が。


「スロー、来週ハント行くから」

「え、やだよめんどくさい」


言い終わると同時に絞まる腕。止めろ折れる。


「うん分かったから腕放して。折れる」

「折角だし、このまま折ってやろっか」

「止めろって、っておいホントに止めろ…!」


部屋の窓から聞こえる微かな悲鳴をBGMに、トミーロッドと私はいつものようなやり取りをしていた。
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