アホだ、アホだ、アホだとは思っていたけれど此処までアホだとは思わなかったわ。
レルカーからの使者が来て、私達は現地へと向った。
パーティは私、ファールーシュ王子、リオン、カイル、ベルクート、サイアリーズ殿下。
一人は正式な女王騎士、もう一人は女王騎士見習いの彼等に私は溜息しか吐けない。
サクっと後ろから刺したらダメかしら?
ベルクートの方がよっぽど騎士に見えるわよ。
お忍びで私達此処に来ているにも関わらずカイル、貴方のせいで速攻バレるってどういうことかしら?
痴情の縺れって全くこれっぽっちも笑えません。
しかも顔役は、大声でファールーシュ王子の名前を呼ぶ始末。
もうお忍びでも何でも無くなってませんか?
絶対にゴドウィン側にレルカーにファールーシュ王子が来ている事は知れている事でしょうね。
私は黎明城で調教(教育)した影に命じてレルカー付近で怪しい動きが無いか調べるように命じた。
ワシールの依頼でオロクの人狩りを止めるべく奔走する私達に街の人達はどこか他人事に見ている。
もう直ぐこの街は戦場と化すであろうに…
オロク邸で潜入捜査をしても直ぐにダメ女王騎士カイルのお蔭で身元がバレた。
戦闘になりはしたものの肝心のオロクが意味深な言葉を残し去った事に私は確信する。
「ファールーシュ王子、此処は時期に戦場になります。」
私の言葉にファールーシュ王子とサイアリーズ殿下が驚いた顔をした。
「エイコ、ゴドウィンが責めてくるってのかい?」
サイアリーズ殿下の言葉に是と答え
「領主であるデビアス卿が逃げ現在は顔役がレルカーを治めている現状で、ゴドウィンが手を出さない不自然です。ゴドウィンは武力で以て制圧する事も可能な筈。オロクという方が無理矢理徴兵しレルカーをゴドウィンの支配下にならないように交渉したのでしょう。しかしファールーシュ王子が此処にいる事はゴドウィン側に知れている事は必至。オロクに付けられていた者はゴドウィンの監視と判断致します。この街の民も彼の命も危うい…民の避難を優先致しましょう。」
提案する。
「エイコの言う通りだ。しかし…どうやって避難させるかだよね。」
ファールーシュ王子は自分達の声が民に届かない事を理解しているのだろう。
大丈夫ですよ!
と無責任に言う馬鹿、こほん、自称王子殿下の護衛にイラっとしつつも
「わたしにお任せ下さい。」
ニッコリと安心させるように笑った。
これぞ処世術と謂うものよ。
王族二人は私に民の避難をするように命じたが、無能な女王騎士とその見習いは文句を言っていた。
勿論、全ての民を非難させましたとも。
え?
どんな方法を使ったって?
それは企業秘密です。
ま、そんなこんなで避難が終って直ぐに何ちゃって軍師の弟子が軍を引き連れてレルカーまでやって来た。
うん、ゴドウィンも丁度来てるし全面対決よねー。
と静観していたのが悪かったのか、コイツの作で本当に大丈夫?
と疑念を持っていても進言しなかった私の過失でもあるんだけども一応ゴドウィンに勝利した。
が、執拗にゴドウィンを深追いしレルカーの街に火が放たれた事に唖然としちゃったわ。
まさか自国の民を傷付けるような真似をするなんてね!!
消火活動を終え、焼けた街に避難していた民が嘆いた。
ゴドウィンに勝って良かったと笑う女王騎士とその見習いに私は早急に女王騎士を潰さねばと決意する。
まさか黎明軍に街を焼き払った女王騎士と同じ所属の者がいるなんて民が知ったら怒りしか湧かないでしょ!
記者であるテイラーとオボロ探偵に頼んでゴドウィンの非道の噂を広めるように依頼し、街の復興に人員と補助金を出す事で黎明軍の好感度を上げることにした。
本当ならコレをするのは軍師の役目でしょ!
女王騎士が賊だったとは思わなかったわよ。
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