転職 プログラマー A子さんの優雅なる暗躍生活 | ナノ





レックナート曰く私は世界を崩壊させる異端者なのだそうだ。

自分の意思でこの世界に来て、泥舟の内乱に巻き込まれたこの私に彼女は世界を崩壊させる禍だと言い放ったわ。

勿論、私の気が済むまでサンドバックになって頂いたけれども。

私がこの世界で生きる為に奔走しているというのに、レックナートというオバサンは、星の行く末を見守るが役目云々とばかりに傍観者を決め込んでいた。

その態度に腹が立ったのも一つだけれども私が知らない何かを彼女は知っていると本能が告げたの。

だから私はお願いして彼女が知る全てを吐いて貰ったわ。

隣で顔面蒼白だったゼラセは一目散にどっかに行ってしまったのが残念で仕方ないのだけれども…

明日はいよいよ新女王との対立。

ファールーシュ王子とサイアリーズ殿下は納得してくれたんだけどね…

使えない元女王騎士達が全然納得していなかった。

あれだけ力の差を見せ付けてあげたというのに懲りないってこの事なのね。

目の前に並ぶ馴染みの顔に私はウンザリと溜息を零した。

「何か?」

リオンを筆頭に彼等は私を睨み付ける。

「な、何かって王子やサイアリーズ様を拐した罪人が何を企んでいるんですか!」

声高々に黎明軍の正軍師を罪人扱いですか…

「そーですよぅ、まるで姫様を廃して王子を玉座に就けるつもりなんですかぁ?」

女王騎士としてその言葉遣いは失格だなと私は嗤う。

「何を笑っているの?君がやってる事は反逆罪なんだよ。」

女に甘い腕もサンピンな女王騎士の言葉に私は

「ふふ、あははは、あははははは!」

声を上げて嘲笑(わら)った。

「ファールーシュ王子殿下よりも弱い女王騎士見習い。」

ニーコリっと嘲笑を浮かべリオンを指差す。

「女王騎士に有るまじき態度の女王騎士。流石、傀儡女王リムスレーア殿下の護衛だっただけはある。主人を置いて此処に来るなんて騎士の恥だね。」

上司が愚鈍なら部下も無能なのは君が証明したんだとミアキスを見た。

憤怒の怒りを露にする彼等に

「あぁ、下半身だけは元気なスキャンダル女王騎士。腕も今一つってよく女王騎士になれたね?身体で取り入ってたのかい?」

誰にとは言わないのは、せめてもの私の優しさだよ。

「その言葉、取り消して貰おうか…」

カイルの言葉を皮切りに

「絶対に許しません。」

「姫様を侮辱するなんて死にたいのぉ?」

リオン、ミアキスが剣を抜いた。

一撃、二撃と連携して攻撃してくるのは腐っても女王騎士というところかしら?

カイルが詠唱に入り、詠唱の時間を稼ぐ為にリオンとミアキスの猛攻が始まる。

腰に装着してあった武器を手に取り炎を纏わり着かせ彼女達目掛けて露払いした。

無軌道な鞭に翻弄され苦戦を強いられる彼女達に私は内心嘲笑う。

「氷の息吹」

私の足元を中心に展開される魔法陣から飛退き

「炎の矢」

所持していた火の紋章札を発動させ、鞭に纏わせていた炎を電撃に変更し彼等に向けて放った。

氷は炎の矢で大気に溶け、水が充満している中で電気を透し易い鎧なんて格好の餌食よ?

「雷公鞭」

バチバチと電気の火花が散る。

これでも私は優しいから疾走する雷撃と同程度の威力で済ませてあげているのよ。

どんなに魔防が高くてもね、急所を突かれたらTHE ENDでしょう?

「エイコ様!」

「エイコ!」

ほらほら騒ぎを聞いてベルクートとロイが駆け付けてくれた。

地に這い蹲った女王騎士様達を見る眼が厳しいという事にそろそろ気付いて欲しいわ。

「怪我はないか?」

ガシっと捕まれたロイの手をやんわりと引き剥がす。

「大丈夫よ。それにしても此処まで愚かだったなんて幻滅するわね。」

はぁ、と溜息を吐いた。

さて、彼等の処分をどうしようかしら?

此の侭、事が済むまで地下牢に放り込むのも良いのだけれども後々に面倒な事にしかならないのは明白だわ。

「彼等の処分は如何しましょうか?」

ベルクートの問いに私は

「ファールーシュ王子とサイアリーズ殿下に相談するしかないでしょうね。」

王家としての自覚があるならば、彼等は近い内に始末されるだろう。

床に伸びている彼等は厳重にふんじばられ牢屋へ連れて行かれた。

後にファールーシュ王子とサイアリーズ殿下が彼等に沙汰を言い渡したそうだけれども、私の予想通り彼等はファレナの前に切り捨てられる事になる。



悲嘆する嘆き声が私の中にいる獣が歓喜した。


世界が崩壊するならすれば良い。

私一人の異物で崩壊するほど脆いのなら世界はそこまでの器だったというわけさ!






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