-SEID 栄子-
くっ、あはははは!
傑作だ!
今まで私を含め自分中心に世界が回っている傲慢な輩を見てきてが、彼女は悪意無き無自覚に自分世界を確立しているではないか!!
きっと今までに挫折が無かったからだろう。
運だけで此処までこれたからだ。
そして今後も運だけで切り抜けられると信じて止まないのだろう。
彼女の吐いた嘘は立海に通う男子生徒全員に配信させて貰ったよ。
私のパソコン画面には立海の裏電脳掲示板が表示されている。
「ふふ、凄い書き込みだねぇ。」
私の呟きに
「あれだけ大々的にメール配信したからだろう?」
柳がクツクツと笑った。
「それだけかな?」
ある意味意図を読み辛い彼に問い掛ける。
「最近、矢神と一緒にいるそうじゃないか。立海生の不満を一身に集め、その上で爆弾を落としただろう?」
柳はパソコンを何気無く操作をして画面を進ませた。
ズラリと書き連ねられる矢神姫華に対しての不満。
矢神姫華が吐いた嘘は次第に大きくなり、立海の男子生徒から女子生徒にと広がって行った。
「俺達が想っているのは栄子だけだ。」
柳にしては不確定な言葉を口にするね。
俺達とは大きく出た。
「ふふ、それは光栄だ。」
だがね、その不確定な恋慕に似た執着を信じれる程、私は楽天家ではないのだよ。
さぁ!
終焉までカウントダウンをしようじゃないか!!
-SEID 柳-
噂の渦中にいる矢神姫華は、彼女自身に纏わる噂を知らないのだろう。
彼女の経歴を調べたら幸運で此処まで生きてきたとも言えた。
が、彼女が吐いた嘘一つで全てが失われるとは憐れだ。
矢神は幸村を敵に回し、栄子の興味を引いてしまったのが運の尽きと謂える。
ファンクラブも浮き足立っており、彼女の立場を危うくさせた。
そして一通のメール。
これは立海の男子生徒にしか配信されていない。
矢神姫華の虚言が記載されたメールと動画。
元々彼女は人望が厚いわけでもなく、平凡な少女だったのだ。
刺激を求める者達にとっては格好の餌食だろう。
立海の裏電脳掲示板は彼女の事で日に日にヒートアップしていく。
所詮、噂。
されど噂。
この遊戯に踊らされている俺も大概逝かれているのかもしれない。
「もしもし………、……………」
伝言ゲームのように俺からもう一つの真実を流した。
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