-SEID 矢神姫華-
幸村先輩に振られてから、私の周囲(まわ)りは急速に変化していった。
それは悪い方向に…
腐臭のする下駄箱。
落書きされた机。
離れて行った友人。
囁き声で悪口を言う生徒達。
どうしてこんな事になっちゃったんだろう?
ただ愛されたいだけだったのに!
「あ、アユミちゃん…」
仲の良かった友人に声を掛けても
「アンタ誰??」
まるで見知らぬ他人のように接された。
悪意が怖くて、怖くて、怖くて、私は栄子さんを探した。
きっと彼女だったら分かってくれる!
そう、何処かで信じていたの。
苛められているんだから味方になってくれるって!
構内を散々探し回ってやっと見つけた栄子さんに声を掛けようとした時、栄子さんと並ぶ程に綺麗な女子生徒がいた。
どうして?
どうして?
どうして?
栄子さんは、私とずっと一緒にいたんだよ!!
私はカっとなって隣にいた先輩と思わしき女子生徒を突き飛ばした。
「怜悧っ!!」
悲鳴のように栄子さんが突き飛ばした女子生徒に駆け寄る。
「何で!何で!何で!?栄子さん、私が苛められているのにどーしてそんな女と談笑してるんですか?何で助けてくれないんですか?」
感情のまま言葉を吐き出せば
「貴女が苛められたからといって何故友人でもない私が事態収拾の為に動かなくてはならない!」
倒れた女子生徒を気遣い私には敵意を向けてきた。
どうして?
だって今まで沢山一緒にいたのに友達じゃないって…!!
「な、何でぇ!?」
「自業自得だろう。自分で撒いた種(嘘)ぐらい自分で回収しろ!!貴様、怜悧にこのような無体を働いてただで済むと思うな!」
私を一瞥して栄子さんは、去って行った。
その翌日から虐めはエスカレートしていった。
私は、私は、ただ愛されたかっただけなのに!!
いやぁああああああああああああああああああああああああああああああああ…
-SEID 東怜悧-
彼女は知らないのでしょうね。
あそこに態と栄子様と一緒に談笑していた事を。
私が貴女に突き飛ばされるのは予想範囲内だった事を。
そして栄子様が貴女の壊れて行く様を見て嫣然と微笑みを零した事を。
さようなら、お人形さん。
本当の黒幕はダ〜レ?
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