矢神姫華がこの世界から存在しなくなって一週間が経過した。
彼女は元の世界に戻ったのか、はたまた転生をしたのかは知る所ではないが、一つだけ言える事がある。
私を除いて、この世界の住人は誰も君の事を覚えていなかったのだよ。
これを哀れと謂わずに何と言うのだろうね?
まぁ、私の知った事ではないが、少なくとも君の事は覚えておこうかと思うよ。
何故なら君は私の同胞だからね。
私は完全なる死で、この肉体の持ち主に成り代わった女だから半分世界に融け込んでいるのだけれども。
だけど何時、私がこの世界から弾き飛ばされるかは予測不可能なのだよ。
まぁ、その時が着たら私はサックリと転生でもしようかな。
ツラツラと私はこの世に存在しなくなった矢神姫華についての考察日記の最期を書き記した。
かくして私だけが知るエイプリルフールは幕を閉じた。
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