情報は集まった。
相変わらず学校は不気味だ。
冷涼は神谷みおに怯えて登校拒否してしまったではないか!
それだけが不満だ。
唯一私の思考を理解してくれる同胞であったのに得体の知れないアノ女のせいで私の日常が壊れてしまったではないか!
私が好きだ。
愛してる。
な〜んて戯言を抜かしていた野郎共は、アノ女に夢中だとか。
まぁ、どうでも良いが冷涼を不安定にさせた事は頂けない。
さてさて反逆の狼煙でも上げようか!
君が眼中にないと切り捨てた男達は私の手の内にあるのだよ。
そして、君が大好きだと囁く男達が何よりも大事にした絆を壊される事を善しとするのかな?
控えめなノックの後に入室の許可を出せば彼等が入ってきた。
「やぁ、時間にピッタリだね。今お茶を出すからお座りよ。」
品の良い革張りのソファーに座るように促す。
二人は疲れた様にソファーに座った。
ふふ、通常であれば私物化するなと叱責を喰らいそうではあるが、あの異常事態の騒動の渦中に居れば精神的にも余裕が無くなってしまうと言う事だろうか?
コトリと紅茶を二人の前に置いて私もソファーに座った。
「さて、アノ女の事で良いかい?」
聞くまでも無いだろうが一応念の為にね?
二人はコクリと頷いた。
私は自社で調べた彼女の身辺調査と柳が調べた彼女の噂を纏めた物を彼等に提示する。
彼等はそれを読み出している内に徐々に顔色が悪くなっていった。
そうだろう。
だってそこには彼女を根本的から存在否定する文言が記載されているのだから!
「……これは、本当なのだろうか?」
真田の言葉に私は
「国家とまでは言わないが、私はそれなりの財力と権力を有しているのだよ。そして我が社は情報に特化している。下手をすれば国家の情報よりも上を行くかもしれないねぇ。」
暗にその情報はガセでないと告げれば
「そ、それじゃあ!ブン太や赤也達がおかしくなったのもアイツのせいって事なのか?」
仲間想いのジャッカルは彼等が置かれた異常な状態をどうにかしたいと必死になっている。
「さぁ?」
本当に私でも理解し難いのだよ。
だって、アレだけ中途半端なトリッパーは初めてなんだ。
前代未聞とはこの事だね。
「何とかならないのか?」
鎮痛な面持ちの真田に私は
「そう時間を待たなくても彼女は自滅するよ。」
大丈夫だと笑えば何故?と問いかけてきた。
まぁ、当然の事だね。
私はもうもう一枚の書類を彼等に提示した。
彼等は得体の知れない女と仲間を天秤に賭け、仲間を取った。
当たり前の選択だね。
中途半端なお姫様。
沢山の幸せを手に入れただろう?
偽りだったとしてもその時間を愛(こころ)を彼等から奪ったのだ。
徹底的に自分を捨てきれないと待つのは地獄、かな?
まぁ、君がどう思っても諍い切れるものではない。
この世界は夢でなく現実で、ゲームでなくリアルである事を彼女は理解していなかった、というわけさ。
だから私は嗤う。
最後に提示された一枚の紙に記載されていたものとは?
愚問だね。
彼女が補正をしてまで望んだ魅力は大〜好きなキャラだけでなく他の人間達も虜にしているのだよ。
そんな存在の一人が凶行に及ぶ綿密な計画書だったりするわけだ。
君は対象外とした彼等から敵と認識され、君を狙う計画書を存在(み)なかった事にされたのだ。
出来損ないのアリス。
リセットボタンはもうないよ?
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