-SIDE 栄子-
パラパラと書類を眺め私は嗤う。
神田愛美は私を余程抹消したいらしい。
神田如きの財力で私を潰そうとは愚かの極みとしか言いようが無い。
「松園、神田財閥を調べて頂戴。」
松園は一礼し己の仕事へと向った。
彼は優秀だ。
きっと神田財閥の裏の裏まで調べ尽くす事だろう。
自分が中心という思考回路をぶっ壊してあげる。
人が壊れて行く様ほど面白いものはないんだもの。
-SIDE 仁王達-
栄子のお願いで神田をお姫様扱いしとる。
正直ウンザリじゃ。
つまらんしの…。
栄子のご褒美が無ければ速攻で止めとるき。
「あのねぇーマナってばバレンタインのチョコを作ってるのぉ。皆にあげるから楽しみにしててねぇv」
と猫撫で声で媚を売る神田。
幸村や柳、柳生辺りは適当にあしらっちょるが、ブンちゃんと赤也は顔が引き攣っちょるな。
適当な相槌で良く己に好意を持っちょると思えるお花畑の脳味噌が凄か。
ジャッカルと真田は神田の対象外か…
あの臭い香水女に纏わり憑かれないとは羨ましい。
ゴテゴテのデコネした爪でどんな物体を作るのか…
誰も食さんと思うがの。
まぁ、栄子のご褒美の為に躍起になっとう。
「ねぇ、にぉー君はどんなチョコが好き?マナ、頑張って作ってあげるょ〜」
寄せて上げての胸を押し付けて来た。
パッド入りってのがバレバレな辺り、コイツの女としての魅力はゼロってことじゃな。
ワシは内心溜息を吐きながら
「甘いもんじゃないのが良いのぅ。」
既製品のブラックチョコでもお前さんから貰った物はゴミ箱行きじゃ。
ワシの言葉に神田は気持ち悪い笑顔で
「うん、解ったぁv」
乙女走りしてどっかに行った。
このまま二度とワシの前に現れんかったら良えんじゃけどな…。
-SIDE 神田愛美-
格好良い男の子は皆、マナの物なんだから!
山田栄子なんて目じゃないわ。
あははは!
こんなに沢山の王子様に囲まれているのよ。
どう?
羨ましいでしょう?
ふふ、そろそろバレンタインだしチョコを皆に施してあげる私って凄く優しいわね。
勿論、本命は別よ?
私が探していた人は仁王雅治っていうの。
私の隣を飾るにはピッタリな男ね。
余りにもマナが可愛過ぎるから雅治は直ぐに拗ねちゃうのよ。
大丈夫、雅治が一番だからね!
私が手作りしてあげるって言ったけど、料理人にでも作らせたら良いわよね。
既製品なんて邪道だもの!
此処で私が料理出来るのよってアピールしておかなきゃ♪
「もしもし、パパ?マナだけどシェフにバレンタインのチョコを作らせて欲しいの。うん、そうだよ!あ!一つだけ甘くないチョコを作っておいて欲しいの。」
携帯でパパにお願いをすると快く承諾してくれた。
パパは私に甘いから何でも言う事を聞いてくれる。
私に叶えられないものなんて存在しないわ!
「ありがとう、パパ!そうそう、山田栄子はどうなったの?早めに消してね。」
私に楯突いた馬鹿女は惨めったらしく人生の幕を閉じて貰わないとね。
うふふ、両方とも早く終らせたいな。
私は通話を切って携帯をポケットの中に仕舞った。
お姫様のチョコレートのような甘い夢は、果たして現実になるのかしら?
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