転職 プログラマー A子さんの華麗なるバレンタインデー | ナノ




神田の噂は、あっと謂う間に学校全体に広まった。

侮蔑と嘲笑と軽蔑の眼差しを自分の美貌に対する嫉妬だと勘違いしている様はとても面白い。

彼女の辞書に友達は記載されてないのだろうね。

まぁ、私の辞書には友達=駒だけれども。

酷い?

ふふ、そんなの当然じゃない。

「栄子、あの女ウザイぜよ。」

付き纏われて参っている仁王の頭を撫でる。

「彼女は君に恋をしたからねぇ。」

慰めにもなってない事実を告げてやれば、心底嫌そうな顔をして

「冗談じゃなか!あんな化粧お化けに付き纏われとうない。アレはストーカーじゃ!!」

何とも怒り心頭って感じね。

「言いえて妙ね。でも彼女は、君達にも興味があるみたいよ?ふふふ、ハーレムでも作るのかしら?」

それだったら私が面白いのに!

仁王は私に甘えるように肩に頭を乗せた。

結構重いんだけど文句は言わない。

だって拗ねるからさ。

「…ねぇ、面白いGAMEをしない?」

至極愉しそうな私の提案に仁王は

「GAMEって商品があるんか?」

何気にガメついな。

GAME自体には特に問題視してないみたいなので、そのまま話を進める事にした。

「神田さんを君達でチヤホヤして持ち上げて、持ち上げて、有頂天になった所で地獄に叩き落すっていうのはどうかしら?」

我ながら歪んでいるな、とは思うけどね。

「怖い女じゃのう。」

笑う仁王は私をギュっと抱き締め

「そんでご褒美はなんじゃ?アレをチヤホヤするなんて生半可なんじゃやりとうない。」

言外に価値のあるのが良いと主張してきた。

ま、それもそうだね。

「じゃあ、他の子達の希望も聞いておいてくれる?彼等にも協力して貰うんだから報酬は平等に、ね。」

但し、私が用意出来る範囲内だけど、とも付け足しておく。

仁王は私の言葉に了承すると嬉しそうに笑った。

そのまま私の膝で眠ってしまったのはご愛嬌だろう。


クツクツと嗤う。

世界の中心には誰もいないのさ。

彼女が世界の中心?

嗤わせないでおくれよ。

終焉は喜劇か、はたまた悲劇か?

愉しければどちらでも良い。

精々私の手の内で躍り狂って貰おう。






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