転職 プログラマー A子さんの華麗なるバレンタインデー | ナノ




バレンタインが近くなり日に日に学校は浮ついて見えた。

メインイベントの一つだものね。

東冷涼(あずまれいり)が紅茶を差し出した。

「栄子様、今年はピエールマルコリーニを用意致しましたわ。楽しみにしてて下さいませ。」

嫣然と微笑む冷涼に

「Coeur Framboiseは美味しいよね。」

紅茶を一口飲んでハート型のチョコを思い浮かべる。

甘い物は好きだ。

チョコも例外ではない。

私にしてはハート型など似つかわしくないと思うが、味は一級品なので好んでよく食べた。

そしてふと思う。

去年は既製品を送っていたような気がするが今年は手作りにしようかな。

あぁ、手作りをあげるのは両親と家に仕えている者達ぐらいだ。

彼等?

私があげなくても沢山貰えるのだから別に良いんじゃないか?

「今年は紅茶のトリュフでも作ろうと思っているんだ。冷涼にも用意するが、他の物が良いかい?」

紅茶チョコは癖があるから好き嫌いがあるよね。

冷涼にはいつもお世話になってるから苦手だったら別の物を作ろうと思っているんだよ。

冷涼を見れば

「栄子様が作られた物でしたら何でも嬉しいですわ。」

ニッコリと嫣然と笑った。

う〜ん、美少女だから様になるな。

「そういえば、栄子様のクラスに転入してきた子がいましたわね。排除致しましょうか?」

般若を背負う冷涼に私は

「別に放っておいても良いと思うよ。アレはアレで面白いのだから、ね。」

クツリと彼女を思い出して嗤った。

自分が一番。

自分より上はいない。

自分が至上なのだ!

と痛い勘違いをして今や三年全体から反感を喰らった女。

情報とは恐ろしいね?

茶請けに出されたクッキーを口に放り込んだ。

程好い甘さに私は愉悦を浮かべる。

サクサクと砕ける音は、まるで彼女の未来の結末のようだ。

ふっは!

彼女は誰にチョコをあげるのだろう……ねぇ?







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