ふっは!
立場が逆転したね、お姫様。
ふふふ、君が望んだ未来と真逆の現実だよ。
あの時、山田栄子を追い詰めなかったら君は、その立場に立っていられたんだよ?
でも残念、山田栄子の魂は消滅しちゃって、体は私が有り難く頂いたわ。
だって、一度の過ちで人生を放棄する愚者(ばか)に救いなんてあるわけがないでしょ!
「とっても残念だわ。神崎さん!」
憐れみなんて微塵もありはしないけどね。
「アンタが!アンタがっ私の王子様を取らなければっ!!」
ギャンギャンと吠える姿は
「躾のなってない駄犬のようね。ふふ、私はね、優しい人間じゃないの。世界で一番醜悪な人間だと自負しているわ!でもね、貴女みたいに愚かな勘違いはしないわ。」
神崎を一笑した。
神崎は諦め悪くR陣に縋ろうとする。
「ねぇ、どうして?いつまでそんな女に騙されてるの?貴方達が愛するのはこの私でしょ!魅力の欠片も無い馬鹿女にどうして尽くしているの?もしかして脅されてるの?そうなのね!私は優しいから許してあげるわ。だから戻って来てよ。」
切々と語る様は滑稽で笑いを噛み殺すのが大変だったわ。
「好い加減にしろよ。」
幸村の言葉を皮切りに
「そうそう、何処まで痛いんスかね?」
赤也が侮蔑の眼で神崎を睨んだ。
「頭が逝っとるんじゃ。言葉が通じんのじゃろ。」
やれやれと仁王が柳生を見ると
「神崎さんにはホトホト呆れました。自分の都合の良いように話を歪曲するのはどうかと思いますよ?私達は貴女のアクセサリーではありません。」
キッパリと毒を吐く。
「何でよ!私は神様に愛されているのよ!その私からの愛を受け入れないっていうの?」
逆切れした!
おぉー周囲を見ろよ。
ドン引きしてんぜ?
と思っても私は口には出さない。
だってそんな事をしたらユキちゃんが怖いからね。
それに私の立場は君の云うお姫様の地位にいるんだよ!
お姫様の役割って知ってる??
知らないからお姫様の地位から私に蹴り落とされたんだね(嘲笑)
狂ったように紡ぐ言葉に段々とユキちゃん達のボルテージが上昇していくのが手に取るように分かった。
ふっは、此処で殺人事件とか起きれば面白いよね!
誰か神崎を突き落とすとかしないかなー?
鬼?
私は鬼じゃないよ。
だって殺すのは私の役割じゃないもの。
赤也が神崎を掴み掛かった所で
「はい、Stopだよ赤也。」
待ったを掛ける。
うん、突き落とすのも面白いんだけどね……
もっと楽しい事を思いついちゃったんだもん!
「何で止めるんスか!?」
赤目で怒られても全然怖くないよー?
だってユキちゃんの絶対零度の微笑みに比べれば楽勝でしょ。
「止めるに決まっているよ。だって君達は全国で優勝するんでしょ?こんな下らない女の為に努力した日々を台無しにする気かい?」
と一番納得しやすい言葉を紡いでやると
「栄子さん…先輩も済みませんでした。」
素直に謝った。
赤也が心酔?
勝手にすれば?
だって私の欲望の為に彼女を生かしてあげてるだけだからね。
欲望が無かったら?
無論、誰かに突き落とされて天に還れば良いんじゃない。
戸籍なし子ちゃんには良い結末でしょ!
私はヘタリと座り込んでる神崎の前まで行き髪を掴んで顔を無理矢理上げさせる。
痛いと喚いているが無視だ。
「ふふ、神崎さん。お姫様から転落した気分はどうだい?もう君はモブなんだよ?あっは!モブ以下だったね、ごめんごめん。君にはね、と〜っても素敵な最後を用意してあげようと思っているんだ。」
ニッコリと笑ってやると
「ふん、そんな脅しが通用すると思ってんの?神様がアンタを殺してくれるんだから!!」
まだ世迷いごとを語れる元気があったのね。
私は髪から手を離しバシっとグーで頬を殴り飛ばした。
ベシャっと崩れ落ちる神埼の頭の上を踏み付け
「ん?私をどうするってえ?」
朗らかに聞いてあげる。
「ひっ…い、痛い、痛いよぅ……」
「えー?何か言った?全然聞こえないんだけど!」
ニコニコ笑って踏み付けた足に体重を乗せた。
付加が加わって相当痛いだろうね。
私の行動に引くR陣。
ユキちゃんだけがキラキラとした眼差しで私を見ていた。
ん?お前ドSかと思ったけどドMだったのか?
と心の中で突っ込みを入れる。
勿論、神崎の言葉なんて聞いてない。
どうせ電波を発した言葉しか言わないんだからさ。
「ほーら、私をどうするって?早く言って?じゃないと頭をカチ割るよ?」
どうせ神埼一人死んでも別にこの先の人生に支障を来たす事は無い。
だって戸籍すら作ってない奴に人権なんて無いって言ったでしょ。
神崎は悲鳴を上げるように
「ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。ゴメンなさい。」
壊れたテープレコーダーみたいに呟いた。
あーあ、ツマンナイなぁ。
「ユキちゃん、帰ろっか!」
私はユキちゃん達を引き連れて帰った。
ふっは、本当は君がこの立場に立って居たかったのんでしょ?
神崎メイルちゃん、私はね感謝してるのよ。
だって私に体をくれたんだもの!
ふふふふ、だから最上級の絶望と苦しみを与えてあげようと思うの。
お礼になってない?
そうかしら?
ちゃんとしたお礼よ。
だって神崎さんは××なんだもの!
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