転職 プログラマー A子さんのオセロゲーム | ナノ




《3年C組、神崎メイル至急校長室へ来なさい。》


ブツっと切れた校内放送にそろそろかと私は口端を上げた。

「冷涼、私もそろそろ動かないとね。」

本を読んでいた冷涼は顔を上げ

「あら?彼等に任せれば良いではありませんか?」

どうせ潰れても問題はありませんしと辛辣な言葉を投げかける。

私もそう思うけどさ

「終焉は華々しく盛大にしたいじゃないか!」

と本音を言うと

「まぁ、栄子様がそれで良いと云うのであれば宜しいと思いましてよ。」

行ってらっしゃいましと教室の扉を指した。

相変わらず素っ気無いよね。

これが巷で流行っているツンデレか?



ふふ、私が校長室に行った時には男子テニス部のレギュラー陣と神埼メイルが呼び出しされていた。

「あぁ、山田さんか呼び出して済まないね。」

校長の言葉に

「別に構いませんよ。校長先生、私から説明しましょうか?」

と話題を振れば首を横に振られてしまった。

あっは!

やっぱり私の性格を理解してるみたいね。

ふっふん、まぁ良いでしょう。

私は、この状況を楽しむ事にするから。

「先ずは神崎さん、君の戸籍が無いと云うのはどういう事ですか?」

校長の言葉に

「そ、そんなはずはありません!」

何とも在り来りな返事をする神崎メイル。

「ご両親はどうしたのかね?」

「そ、それは交通事故で無くなったんです!」

「交通事故ですか…普通なら児童施設へ預けられるのにどうして一人暮らしをしているんですか?お金は何処から?此処は私立で有数な学校です。学費も高いことぐらい分かっているでしょう。そのお金は何処から出ているのですか?」

わぁ…質問攻めだな。

学校に身元不明の不審者がいれば言いたくなるよねー。

神崎は私を一睨みし、直ぐに泣きそうな顔で

「ひ、酷いです!お金は両親の保険金です。どうしてそんな事を言うんですか?」

喚き出した。

校長は溜息を一つ吐き

「神崎さん、貴女は不良を雇って山田を暴行しようとしたと報告が入ってます。また、階段から突き落としたとも含め…貴女は今後警察へ引き渡す事になります。」

淡々と事実を述べた。

神崎の顔色が真っ青になり

「わ、私、そんな事してません!!山田さんの虚言です!」

何とも苦しい良い訳をする。

「神崎さん、これが何か分かりますか?」

一枚のSDカードとデジカメだ。

「い、いえ…」

神崎の戸惑いを他所に

「これは貴女がした行いの全てが記録されている物です。そうですね?山田さん。」

校長の言葉に

「はい。その映像を見て頂ければ一目瞭然かと思いますが?」

ニッコリと答え、デジカメにSDカードをセットして画像を再生する。

無論、あのチンピラ'SのAVは入ってないけどね。

《ちょっと、話が違うじゃないっ!この役立たずっ!折角、私がブンちゃんを助けて依存させる為の計画が台無しよっ》

《アンタが悪いのよっ!私は悪くないんだからっ!大人しくアイツ等に犯されていれば、私はあんな目に遇わなかったのに!》

《アハハハ!モブの癖にお姫様に勝てると思ってるの?うふふ、山田の時は失敗しちゃったけど…今後は成功させるわ。きっとこの前のはフラグだったのね!大丈夫、今度は息の根を止めてあげるから覚悟してね、山田さん。戸籍だってねぇ、バレるわけないでしょー》

等と様々な醜態を演じる神埼メイルの姿が映し出された。

ふっは!

自分の迂闊さに泣いて悔やむと良いよ。

君はヒロインじゃない。

勿論、私もね!

この世界の主役は彼なんだよ?

君はそれを忘れてしまっているんだね。

「テニス部についての処分だが、全国大会の出場禁止とする。」

ありゃ?

廃部かと思ったけど結構軽いんだね。

「幸村君、君なら何故だか分かるだろう?」

名指しされた幸村は

「はい」

短く答えた。

君にとったら災難だよねえ。

だって全国に行く為に頑張って病気を治したのに神崎メイルのせいで全国行きを断たれたんだからさ。

ちょっと待てよ?

コイツ等が全国に行かなかったら確実に青学のストレート勝ちじゃね?

それもムカツクわぁ…

「校長、それは賛同しかねます。」

いや、腹の底では高笑いしているんだけどね、勤めて真顔で進言する。

校長は一考した後

「何故かね?山田さん、君は被害者なのだよ?」

そうだね!

傍から見れば私は立派な被害者だ。

ただ策を練って仕掛けたのは私だけどね。

「神崎メイルはこの学校に存在しなかった。それなのに彼等が貧乏籤を引く必要が何処にあると云うのです?」

戸籍が無いのは当然だけどね。

立海にあるはずの学生データの中に入っていた神埼のデータは消去されているのよ。

流石、冷涼ね。

仕事が的確で速くて有能だわ。

直訳すれば神崎メイルを切り捨てれば良いだけのことと言い切った私に

「ちょ、私は立海の生徒よ!!」

神崎が怒鳴った。

私は校長から神崎に向き直し

「貴女は誰です?神崎メイルと云う人間が存在しないのは何故です?国が所有するCB(システムバンク)に登録されていないのは何故です?」

問い詰める。

んふ、トリッパーなんだし戸籍が無いのは当然よね!

でもね、頭を使えば戸籍なんて幾らでも手に入れられるのよ?

トリップした日に警察に行けば良いのだから!

覚えてるのは名前と年だけだと言って記憶をなくした振りをすれば良かったのよ。

そしたら大金を払わなくても戸籍は手に入ったはずよ?

それにね、奨学金制度を利用すれば立海に入れるのよ。

ジャッカルがそうじゃない!

ふっは!

だから君は馬鹿なんだ。

と思ってても口外しないよ?

だって外面は厚くてなんぼでしょ♪

「そ、それは…(言える訳ないじゃない!トリップした時に神様はそんな事を言わなかったわ!ちょっと、どうして神様は何もしてくれないの!?)」

焦る神崎に

「それは最初から貴女が存在しなかったと云う事です。」

私はチラリと時計を確認し

「あと10分程で警察が迎えに来ます。そこで全てを喋ったらどうです?」

ニッコリと微笑んだ。

ふふ、ヘタリと座り込む神崎に追い討ちを掛けるように神崎しか聞こえない声で
「トリップして逆ハー達成出来なくて残念ね、神崎さん。ふふ、貴女に相応しい籠を用意して待っているわ。」

と囁いく。

取り乱す神崎は到着した警察に取り押えられ私に罵声を浴びせて強制退場した。

その後?

あぁ、適当に男子テニス部を擁護して全国大会に行かせる事は約束したわよ。

だってあんな恥ずかしい名前の学校が全国優勝なんて許せないわ!

廃部にされたくなかったら必死になって頑張って頂戴ね?





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