転職 プログラマー A子さんのオセロゲーム | ナノ




病院と云う場所は嫌いだ。

俺が嘗て病に身体を蝕まれ、未来を描くことが出来ない時期があったから。

神崎メイルに階段から突き飛ばされて彼女は此の病院に運ばれた。

痛々しく巻かれた包帯に俺は手を伸ばす。

栄子は変な子だった。

お世辞でも良い性格だと言えないぐらいに歪んだ性格。

普通は隠すんじゃないのか?と思うような言動も栄子の中では普通のカテゴリーに入ってあるのだ。

嫌いじゃない。

神崎から何だかんだ言いつつ俺達を助けてくれている栄子は変わっている。

栄子の中にある優しさでは無いけれど、打算と欲で構築された隠さない思いは清々しい。

それが却って誤解を招いているが、ソレすら栄子の予測範囲内なんだろうね。

今回、大人しく突き飛ばされたのも真田がいたからだろ?

「解ってしまう自分が嫌になるよ。」

まるで眠れる森の美女のようだね。

口を開けば毒舌が飛び出すのに此のまま目覚めないのでは?と錯覚してしまうよ。

君に持つ情は、淡い恋でも優しい愛でもなく、激しい執着なんだ。

触れた唇は思いの外甘く柔らかい。

「早く起きてよ、栄子。」

君の思惑なんてどうでも良いんだ。

神崎が栄子を突き落とした!

だってそれが真実なんだからさ。

「そうだろ?真田…」

病室に入るか迷っていた真田に声を掛けた。

「どうだい?自分の信じた者に裏切られた気持ちは?栄子は壊れかけたテニス部の選手を守ってたんだ。」

項垂れても遅いよ。

「神崎は異常だよ。自分でお姫様ってどんだけ痛いんだ!学校で流れている噂は全部本当だよ。栄子ね、レイプされそうになったんだよ。」

まぁ、物凄く愉しそうに話していたけどね。

マル秘映像と称して調教した野郎共のビデオには柳と仁王が泣きながら土下座して止めたけど。

全国ネットで恥を曝した奴等に同情はしないよ。

無論、レイプされた神崎にもね。

低能なゲス女には丁度良いと思うしさ。
「いつ気付くだろうって思ってたけど、栄子が突き落とされるまで気付かないとは…」

お前なんていらないと言おうとした所で

「ユキちゃん、そこまでだよ。それ以上は駄目だからね。」

ユックリと起き上がった栄子に止められてしまった。

「悪かったね、ユキちゃん。心配させてさ。真田君もさ、別に気にしなくても良いの。だって私を突き落としたのは神崎だからね。いくら嫌いだからと一歩間違えれば殺人だよ。君がさ、それでも神崎を守りたいならどーぞ。」

ニッコリと綺麗に笑う栄子は

「君の正義は君自身で決めなさい。今此処で私の味方になれとか戯れ言は言わないわよ。だって押し付けられて決め付けられた決意ほど脆いものは無いものね!ユックリ決めて結論を出せば良いのよ。」

ケラケラと愉しそうに布石を置いた。

「山田…」

複雑そうな顔をする真田に

「ユックリ考えなよ。私はいつでも君の質問に答えるからさ。それに私ももう少し寝ていたいしね。」

一般の奴等から見れば慈愛に満ちた笑顔だろうけど、その裏に隠された巧妙な手口に俺は口端を上げる。

やっぱり栄子は最高だよ!

俺は真田を追い出し栄子に向き直る。

「栄子、心配したよ。」

俺がそう云うと栄子は苦笑いをして

「心配掛けてごめんよ。でもさ、アレぐらいの階段なら軽症で済むのは分かってたんだよ?」

そう告げる栄子に俺は溜息を吐いた。

反省の二文字もない栄子のベットに俺は乗り上げた。

「え?ちょっ、ユキちゃん!ベットが狭くなるじゃないか!?」

突っ込む所はそこなのか…

「レイプ未遂もだけど結構怒っているんだよ?」

そんな俺の言葉に栄子はサッと顔色を青褪め

「アレは不可抗力だし!というか、アレぐらいの不良なら私一人で片せるってば!」

ブツブツと抗議をしてくる。

「実践で教えないとやっぱりダメかな?」

ジタバタと逃げようとする栄子を体重を掛けて逃げられないようにした。

「実践なんていらないから!ユキちゃ…」

抗議する言葉を唇で塞ぐ。

大きな瞳は驚愕と云った感じで開かれ茫然自失な栄子を良いことに俺は彼女の唇を堪能した。

唾液で光る唇が淫靡に見える。

荒く呼吸する栄子に

「次、無茶をしたら足腰立たなくなるまで犯すからね?」

ニッコリと笑うと半分泣きながら頷く栄子。

ふふ、可愛いなぁ。

俺は栄子を抱締めながら思った。

そろそろ神埼を排除しないと…ね?

真田も気付いたようだしさ。

あんな地球外生命体に遠慮する事はないと思うんだ。

ねぇ、神崎…俺達の意思に反して好き勝手してくれたことを後悔させてやるよ。

お前の愛なんて糞の役にも立たないだろ。

俺が欲しいのは栄子だけだよ。

それが愛と聞かれた違うんだけどね。





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