ふっは、幸村からの衝撃の告白で神崎メイル抹消作業は順調に行っている。
ジャッカルに紹介したスクールテニスに仁王と丸井、幸村が通っていると報告が入った時、部活が機能してないんじゃね?
などと思った。
心配なんてしてないけどね、我社のテニス選手として声を掛けなかったことにご立腹らしい。
面倒臭かったので、お守り役(ジャッカル)ごと押し付けてコートの使用を許可した。
「栄子さん、酷いッスよ!先輩達がなんであのテニテニススクールに通っているスか!?」
俺が頼んでも通わせてくれなかったのに…と恨みがましく文句まで言われた。
「仕方無いじゃないか。赤也には、あそこの指導は体に負担掛かるんだよ。」
ポフポフと赤也の頭を撫でる。
さて、此処で疑問を持つ輩も居るだろう。
ふふ、切原赤也は元々此方側の人間なのさ。
私が山田栄子の身体に憑依し、完全に乗っ取るまでの間に表面上に出てきた私と出会っているのだよ。
何回か話をし、意気投合した私達。
赤也は、今回の呼び出しで素を見せたと思っている。
今となっては完全にこの身体は私の物なので問題ない。
「学校のテニス部はどうなっているんだい?」
私の質問に赤也は不愉快を隠さず
「最悪ッス。神崎は異常にベタベタ引っ付いてくるし、先輩達はテニスやる気ないんじゃないッスか?そんなにアレが心配なら部室にでも監禁しとけば良いのにさ。」
サラっと犯罪を提案する赤也に私は溜め息を吐いた。
幸村、お前…私に丸投げしただろう!
今頃、テニススクールで楽しくテニスをしていると思うとイラってくるな。
「一年や二年、まぁ三年にもテニスがしたいならスクールのコートを貸してやるから赤也も一緒においで。」
ポフポフと頭を撫でた。
ギューっと抱き着いてくる。
そう言えば、赤也は極度の女嫌いだった。
余りにも自然に抱き着いたりスキンシップ過剰なのでサッパリと忘れていたのだけど。
この腕の中で甘えている赤也が恋愛するとすれば、やっぱり男か?
「赤也、今度一緒に買い物しようか?」
可愛い系の服を沢山買ってあげよう。
私は赤也が男を好きだとしても軽蔑しない。
寧ろ諸手をあげて喜ぶ!
だって、思春期なのにテニスばっかりだなんてあんまりだ!
それに私が楽しい。
本にして出版するのも良いな。
そんな下らない私の考えを他所に赤也は、栄子さんとデートだと浮かれていたらしい。
A子さんはワカメちゃんとの意志疎通は出来ているようで、全く出来ていないのだった。
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