マリア様以外を主と仰ぐ事は、私には無理です。
忽然現れた少女は、恰も元からボンゴレにいたような振る舞いに殺戮衝動を押さえるのに必死だったんです。
頭のおかしな少女はボスや守護者の方々を自分の都合の良いように平然と嘘を吐いた。
お前のような品の無い小娘がマリア様の地位を簒奪するなど到底赦される事ではないのです!
良いように騙されているボスや守護者の方々には怒りを通り越し憐れみすら感じます。
私達メイドはマリア様に頭を垂れ、傅くのです。
マリア様は身重の身、私が守らねば!
と決意したのですが、心優しいマリア様はそれを義(よし)とされません。
ボンゴレが用意した態とらしいトラップ車から的確にトラップを外して私とリボーンさんを乗せ逃げ仰せになったのです。
外したトラップは逆に追っ手を捕らえ妨害したのを見て流石、マリア様と思いました。
途中、車を降り私の腕を引いて走るマリア様。
敵を撒けたのにどうして急ぐのかと思いましたが、背後でした爆発音にアノ車に仕掛けられていた物に気付いたのです。
マリア様は震える私の手を握り締め
「大丈夫」
と励まして下さいました。
このような慈悲深い聖母のようなマリア様が、どうして罪人の如く追われ無くてはならないのです!
「レナ、大丈夫よ。泣かないで。レナが泣いてしまうと悲しいわ。」
きっと一番辛く悲しいのはマリア様なのに一生懸命笑って私を励ますマリア様。
「マリア様、もう泣きませんわ。」
マリア様、私がお守り致します。
そして必ずボンゴレを潰してみせます!
私達の忠誠はマリア様の物。
覚悟なさいませ、ボンゴレ。
我らの主を傷付けた罪は重いのです。
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