−SIDE リボーン−
ボンゴレからマリアと逃亡して8ヶ月が過ぎた。
産み月も近くなりマリアを連れて移動するのも難しくなってきた。
そろそろ決着を付けなければマリアとその子供の身が危うい。
「レナ、そろそろマリアの身が持たねぇ。こっちから動くぞ。」
俺の言葉にレナが
「畏まりました、リボーン様。ロッソファミリーより連絡を取りました所、雲雀様、骸様、ランボ様はロッソファミリー側に付いて頂けるとのことです。また、笹川様については骸様より説得されるとのこと。京子様、クローム様はロッソファミリーにて保護されていると報告が御座います。」
俺を望む以上の仕事をしてくれた。
流石、マリアに使える優秀なメイドだ。
「そうか、思ったよりもダメツナを見限っている奴は多いな。」
マリアを裏切った代償を払って貰わなければな。
雲雀と骸には俺直々に協力を要請し、ランボについてはマリアの護衛に廻る様に命じておいた。
マリアを慕う者達が俺達の行動に合わせて動きを見せる。
まぁ、中には馬鹿な奴もいて俺に歯向かってくるのだが、俺がそんな雑魚程度にやられるわけがないだろ。
しかしレナ・アナッシュの戦闘能力の高さには驚いたぞ。
ヴァリアー並に誇るレナの戦闘能力を見出したマリアの観察眼には恐れ入った。
矢張りボンゴレ本部となるとそれなりの相手も出てくるわけだ。
俺にとっちゃあ腕試しにもならねぇがな。
今頃マリアはロッソファミリーに保護されているはずだ。
PiPiPiPiPi♪
携帯の着信音に俺はニヤリと笑う。
「俺だ。」
『此方は排除しましたよ、アルコバレーノ。』
骸の報告に
「山本は潰したってことだな。」
一応確認を取っておく。
『全く何処の狂信者かと思いましたよ。そうそう、雲雀からも忠犬を噛み殺したと連絡がありましたよ。』
「そうか、ご苦労だったな。」
『本当ですよ。まぁ、ロッソファミリーにはお世話になってますしね。あぁ、本日限りでボンゴレを抜けさせて貰いますので、Arrivederci!』
ブチっと切れた電話に俺はボンゴレも落ちたものだと思った。
「やっと来たかダメツナと糞ガキ。」
目の前にいる嘗ての教え子と得たいの知れない小娘を睨みつける。
−SIDE レナ・アナッシュ−
マリア様の産み月も近付く最中、追っ手も焦っているようで形振り構って無いボンゴレにリボーン様が動くと仰いました。
私はボンゴレ本部にいるメイド達やロッソファミリーと連絡を取っていたので状況をリボーン様にお伝えし判断を仰ぐ。
孤高の浮雲であられる雲雀様や幻惑でファミリーを隠す骸様は特殊な性質故に得たいの知れない少女に引っ掛らなかったのだと私は思うのです。
少し意外だったのはランボ様の存在でしょうか…
マリア様を姉のように慕っていらっしゃった純粋な少年と云う印象がありましたが、今回の件で認識を改めました。
笹川様の件は骸様にお任せすれば事はスムーズに進むでしょう。
マリア様、ご安心下さいませ。
必ずや私がマリア様をお守り致します。
リボーン様は鮮やかな銃裁きでボンゴレの手先の者を撃ち殺して下さいます。
私がする事と云えば、炙れた残党の始末をするぐらいですわ。
「死にたい者は掛かって来なさい。レナ・アナッシュの名に掛けて闇に葬って差し上げますわ!」
マリア様より頂いた長剣とナイフを駆使してリボーン様の道を作った。
ボンゴレ本部中央までくればそれなりに強い方も多くなり手古摺るかと思いましたが、リボーン様は余裕の表情で敵を裁いていかれます。
「レナ蹴散らすぞ!」
リボーン様の言葉に私は頷き
「畏まりました。」
リボーン様の後ろに続く。
途中、リボーン様の下に骸様より雨と嵐の守護者を潰したと連絡が入りました。
対面した諸悪の根源に私の殺気は膨れ上がる。
「ふーん、××を狙って来たわけか…リボーン、それとレナ・アナッシュだっけ?死ぬ覚悟は出来てるんだろうね?」
小娘を守るように前に出るボンゴレにリボーン様が
「ふん、一番最初に死ぬのはその小娘だ。その後にてめぇを俺が殺すから問題はねぇ!」
キッパリと言い切った。
「リボーン、どうしてそんな事を言うの!?」
マリア様を陥れた小娘が気安くリボーン様に声を掛ける。
リボーン様は不愉快そうに
「てめぇが俺の名前を気安く呼ぶんじゃねぇ!!」
味方の私でさえも痛いと思うほどの殺気を放出されました。
「何を言ってるの?私はボンゴレ夫人になる女なのよ!リボーン、貴方が守るべきなのは私よ!あんな女じゃなくて私が主なの!!」
この言葉には流石の私も黙っていられませんわ。
「戯言を仰いますな!得体も知れぬ小娘風情にマリア様をあんな女呼ばわりとは許しません。此度の件は、お前の命を持って償って頂きます!」
マリア様の居場所を奪っておいてノウノウと暮らしているお前を私は赦しません。
ボンゴレ、貴方もです。
「何よ!部外者のアンタが口を挟まないでくれるっ!」
ヒステリックに叫ぶ少女に
「てめぇが俺等にしちゃー部外者だ。胸糞悪りぃガキだな。レナ、ガキを葬れ!俺はダメツナの仕置きをするぞ。」
バッサリとリボーン様が切り捨てた。
「承知致しました!」
さぁ!マリア様が味わった辛苦をその身で持って味わうが良い!!
−SIDE ALICE−
どうして!
どうして?
どうしてっ…
何故、リボーンは私を優先しないの?
私はボンゴレ夫人になるのよ!
貴方の主人は私ただ一人なのにどうしてあの女に付くの!?
その女は誰?
私の事はツナが守ってくれるけど、リボーンとは戦いたくないわ!
だって貴方は私の騎士(ナイト)だもの。
アノ女に何か吹き込まれたのね!?
あぁ、可哀想なリボーン。
私が助けてあげるわ!
神様に愛された私に勝てるはずがないのよ!
「ツナ、あの女が怖いわっ!」
私はツナに哀願するとツナはレナとかいう女に攻撃し始めた。
ボンゴレのボスと戦うシチュエーションなんてそうそうないでしょう?
ツナの死ぬ気炎に押され気味な女を見て私は嘲笑(わら)う。
「リボーン、今なら赦してあげるわ。あんな女を庇う必要はないのよ?」
きっと私の失望が怖くてあの女に味方しているだけなんでしょう!
「話の通じねぇ奴だな。俺はマリアしか見ていねぇっ!」
構える銃に
「どうして?私はっ 」
パーン
硝煙の臭いと鉄の臭いがして体が熱い!
「な…んでぇ…」
どうしてリボーンが私を撃つの?
だってこの物語は私がヒロインなんでしょ!
此処はリボーンが改心して私が赦す場面なのにっ!!
「はっ!テメェみたいなフザケタ奴に俺の名前すら呼んで欲しくねぇっ!死ね!」
真っ赤に染まる世界、私はこの世界のヒロインなのよ