ギブ、ギブです!
泣き落としという激流に流され見合いに挑む勝負服に俺は根を上げた。
別にスーツで良いじゃん。
何て嬉々として選ぶメイド達に言える筈もなく、相手が日本人だから着物で!と華美に装いを強制させられた俺。
黒髪だからこそ、美しく映える着物なのに俺が着たら無惨だと思う。
重い・苦しい・動き難いの三重苦に俺は、早々に根を上げた。
諦めの境地で見合いの席に座れば、程無くして雲雀恭弥がきた。
威圧感バリバリ。
殺気でドキドキ。
何を話したかサッパリ覚えちゃいないが、相手が何故か三叉槍を構えた。
何故!?
「嘘つきー(涙)」
頑張って攻撃を避けたさ。
クフーとか微妙に変な笑いをする雲雀恭弥。
契約して下さいって
「嫌」に決まってんだろ。
チキンで戦闘能力皆無の俺がボンゴレ最強に勝てるはずも無く、着物の裾を踏んで体勢を崩し何かを巻き添えにして転んだ。
頭に飾ってた我が可愛いリーシャがくれた簪が床に転がっており、取る際に柔らか物体を掴んだけど気にしない。
リーシャがくれた簪を取り戻した時、俺は安堵の笑みを浮かべた。
ドカンっと壁がぶち破られもう一人の雲雀恭弥を見た時、俺の魂は口から一目散に逃げた。
トッペルゲンガー?
混乱する頭が落ち着くのは俺が帰宅して、次の日の昼飯を食っている最中だった。
トッペルゲンガー出現からは何も覚えてないけど!
きっと相手側から縁談を断ってくるさ!
なーんて、甘い考えだったのを数日後に身を持って知ることになる。
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