僕は基本的に人間に興味が無い。
しかし僕が興味を持てる女性に出会った。
それは今でも鮮明に思い出せるよ。彼女は面白い女性だった。
ロッソファミリーとたまたま鉢合わせになってしまい仕方なく共闘することになったその時、本当は敵と一緒に噛み殺す予定だったんだ。
否、噛み殺すつもりだったんだけどね、ルッツは僕が噛み殺す前に匣一つで敵だけを殲滅したんだ。
鮮やかな手並みだった。
ゾクゾクしたよ。
久々に思いっ切り戦えると思える相手に出会えたんだからね。
僕の殺気に気付いたのかマリアは困ったように苦笑しもう一つの匣で僕の動きを封じてしまった。
「怪我してますね。」
「だから何?」
「私が貴方を巻き込んだんです。ちゃんと責任取りますね。」
マリアが頬を触った時、ピリっとした痛みが走ってようやく僕が怪我をしていたことを自覚した。
でも責任って普通逆じゃないの?
美しい容姿とは裏腹に何とも漢前な台詞に僕は少し笑ってしまったんだ。
仕方ないだろ。普通そういう言葉って男が女に言う台詞だと思うんだし。
「僕は雲雀恭弥だ。君は?」
好きとかそういう感情ではなく、そう単に純粋な好奇心で聞いた君の名前。
「マリア・ルッツ・ロッソと申します。それではまた。」
マリアに予想以上に言い寄る男達がいるのを知ったのは、それから直ぐのこと。
一番の難関は、あのマリアの義理妹だろうね。
シスコンを通り越してストーカーだよ。マリアが気付かない内にどれだけ縁談話を握り潰したんだか。
まぁ、僕はそんなことは関係ないからね。
だって彼女直々にプロポーズされているんだしさ。
何だい?沢田綱吉。君の婚約話も向こうから蹴られているんだから諦めなよ。
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