淡い月色のシンプルなドレスを着て俺はボンゴレ主催のパーティに出席している。
ドレスを着るのにも抵抗あるんだよ…
俺の専属のデザイナーは俺の趣味を熟知しているのか派手な物は選ばない。
欲を言えばズボンを履きたいと思うけど無言でダメと圧力を掛けられるんだよなぁ。
「ドン・ボンゴレよ。」
「守護者の方も素敵だわ〜」
など黄色に声が上がる。
真っ白なスーツを着こなしている青年は優しい雰囲気ではあるが目が笑ってない。
見た目は良い男なのに勿体無い。まぁ、香水と化粧の臭いで異臭を放つ玉の輿狙いの彼女達は砂糖に群がる蟻の様に我先にとドン・ボンゴレと守護者を取り囲んでいる。
う〜ん、ご愁傷様?
元男としてもチョッと引く光景だよなぁと思いつつ俺は黙々と料理を食っている。
話しかけないのかって?
嫌だよ。態々あんな目玉(ドン・ボンゴレ)バーゲンセールの渦中に突進して行く勇気なんてないね。
それにしてもこのワイン美味しい!
チーズを摘みながらワインを堪能していると誰かにぶつかってしまった。
弾みでワインがドレスに掛かってしまったがこれでパーティから離脱出来る口実が出来た!
あははは、ラッキー♪
何て思ってたのが悪かったのか
「済みません。俺がぶつかってしまったせいでドレスが汚れてしまって、レディ今直ぐ替えのドレスを手配します。」
ドン・ボンゴレがいた。
何のフラグだこの野郎!と内心では罵ってはいるが顔には出さない。ドレスの替えなんて用意されたらパーティ残留じゃん。絶対嫌だ。
「御気に為さらず、ドン・ボンゴレ。服は汚れる物です。そろそろ向えが来るので私のことは大丈夫です。」
ニッコリと笑み必死で浮かべ丁重にお断りした。
ビシバシと突き刺さる嫉妬の視線が痛いんです。あぁ、アンタ目当ての女に睨まれてる俺。闇討ちされる前に逃亡させて欲しい。
「その格好で帰すなんて出来ません。俺の不注意ですから気兼ねせずに着替えて行って貰えませんか?」
ボンゴレの機嫌を損ねることは(どうでも良い)ファミリーにとって死活問題。
別に服が汚れたって帰ってシャワー浴びて着替えるんだから対した差はないのに…マフィア社会も縦社会。
NOと言ったら……考えるのはよそう。
「では、宜しくお願いします。」
そう言うしかないじゃないか!
やっぱりパーティなんて欠席すれば良かった。と思っても後の祭り。
てか、ボンゴレは何で手を差し伸べているんだい?
きっとコイツはKYだ。この嫉妬の視線が俺に集中砲火しているだろう。察しろよ!
と思っても顔には出さない。至極自然に且つ出された手を取る。
うぅ、後ろから刺されるんじゃないかって超怖いんですけど!
慣れない高いヒールに躓いてしまいボンゴレを押してしまった。
瞬間、顔の横に何かが通ったけど今はボンゴレを突き飛ばした事に内心悲鳴を挙げる。
ついでに躓いた瞬間、何かを蹴って足が凄い痛い。
ボンゴレが何か指示を出しているがそれどこれではない。
悶絶する痛みに耐える俺!
「ドン・ボンゴレ、お怪我はありませんか?躓いてしまい申し訳ありません。やはり本日は気分が優れないので帰らせて頂きます。」
痛みに引き攣る笑顔で、俺はそれだけ告げて逃げた。
痛いし怖いんだもん。
報復とか無いよね?
詫び状と賄賂を贈れば良い?
あぁ、混乱する頭の中で
「ユーフォルビア(死期が迫ってるのか!?)気を付けないと…」
もう手遅れかもしれないけど。。
- 3 -
前 次