密やかにボンゴレのメイドの中で囁かれる噂がある。
それはマリア・ロッソの二つ名。
彼女に助けられた者は多いと言います。
証言1メイドA
「こう言っては何ですが、他の方よりもマリア様は奥床しくとてもお優しい方です。でもそんな印象を一新させるような出来事が御座いました。私に言い寄るシツコイ男に無体を働かれそうになった時、マリア様が助けてくれたのです。その風格は正に女王様でした。」
証言2メイドB
「最初は顔だけの方だと思っていたんです。そんな私は何て愚か者なんでしょう!その日はメイド長に買出しを頼まれていたんです。えぇ、他の候補の方の我侭の分ですが…ですが、一つだけ買えなかった物があったのです。とても困りました。きっと私の首は飛ぶのだろうと!ですが、マリア様が取成してくれたんです。あんなに冷たい態度を取った私に対して!何と慈悲深いのでしょう。そして無茶を言った他の候補者を諌める姿は正に女王様でした。」
証言3メイドC
「マリア様は真の女王様です。恐れ多くもボンゴレに進入した賊を小石一つで撃退したのですから!それも極自然にですよ。レナさんが凄く羨ましいです。ボス、私もマリア様の傍メイドにして下さい。」
等などと寄せられる声に綱吉は、嬉しく笑った。
ボンゴレのメイドにこれほどまで気に入られるなんてある意味凄いことだ。
彼女達は総じてプライドが高い。
自分より下だと思う人間に尽くそうとは思わない。
メイドの信頼をどれだけ得られるかで、今後の生活は激変してくるのだ。
メイドに選ばれなかったら例え婚姻を交わしたとしてもソイツの居場所は何処にもないだろう。
でもマリアは違った。きちんと大事な部分を押さえている。
計算ではなく、本当に相手を思いやっての行動なのだろう。
だから俺も惹かれたのだ。
だけど一つだけ心配事がある。
あれだけ魅力的な女性なのだから他の守護者達も惹かれることだろう。
まぁ、勝つのは俺だけどさ。
メイドの纏めた報告書に俺はサインをして処理済のファイルにしまった。
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