聖人君子のような人間なんている筈がない。
ダメツナが初めて乗り気になった婚約者候補の中の一人に俺は溜め息を吐いた。
容姿は他の二人よりも美しいと思うが、マリア・ロッソは何処か超越している何かがある。
ロッソファミリーは中堅のマフィアで、特別に秀でているものが在るわけでもない。
ボンゴレを大きくするなら他の候補の女と婚姻を結べば早いだろう。
モニターでずっと様子を視ていたが、マリア・ロッソには監視されている事を理解していた。
掃除する振りをして盗聴器だけを捨てる女に俺ですら畏怖を感じた。
物置のような部屋を宛がわれて、守護者最年少のランボが向えに出るという礼儀を欠いた対応に対し文句一つ零さない。
だからだ。
逆に何を考えているのかサッパリ解からない。
この女がボンゴレにとって凶となるのか、吉となるのか…
「荒れるな…」
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