アクゼリュスの預言
非常識軍人+モンスターが贖罪としてアクゼリュス救済への同行が決まった。

力の限り反発したさ。

しかし預言にモースの押し切りと様々な思惑によって私の声は届かなかった。

隣にダアト最高指導者である導師イオンがいるにも関わらず。

絶対零度の微笑みが超怖かった。

それにしても有得ない!

何がって全てがだ!

先ず救援部隊を用意していない。

これにはどうやって救援しろというのだ!?

と心の底から叫びたかった。

隣にいたアスランさんも唖然とした顔をしていたよ。

確かにアクゼリュスはマルクト領だし、見捨てても別にキムラスカとしては痛くないのだろうけど和平を結ぶなら兵を出して救援すればキムラスカが有利な条件で和平を結べるのだ。

しかも人選されたメンバーが非常識+モンスターじゃないか!

私に過労死しろと?

そんなこんなでテンションはドン底のままスタートを切った親善大使一行は、アクゼリュスに着くまで散々な道程だった。

モンスターを守る根暗マンサー。

嫌味と侮蔑と愚痴を吐くナルシーティア・グランツ。

ガルドの鬼の元・導師守護役は何故か王命に叛いた反逆罪の偽姫ナタリアと楽しく会話をしていた。

行く先々でモンスターとの戦闘をするのはアスランさんとシンクの二人のみ。

砂漠越えでも辛いのに行く先々でモンスターとの戦闘で疲れている二人を気遣って

「今日はオアシスで泊まろう。」

と提案すれば

「何を勝手な事を言ってるの?」

「アクゼリュスの人達が今にも助けを待っているのですよ!」

「民を見捨てるなんてサイテー」

「おやおや我儘坊ちゃんには困りましたねぇ〜」

と避難され

「ルークの言う通りにしよ?皆も疲れてるでしょ?疲れたままでアクゼリュスに行っても力を発揮出来ないよ?」

モンスターの薄っぺらな台詞に庇われる始末。

モンスターの言葉に非常識軍団は

「「「流石、どっかのお坊ちゃまとは違う(いますねぇ)わね。マリアは優しい(んですね)のね」」」

モンスターを口々に褒め称えた。

どこの宗教だ!

「ゴブリンが教祖ですか…」

遠い目をしたイオンに

「言葉が通じないって不便だ。」

辛辣に嫌味を言うシンク

「アクゼリュスに行く前に不敬罪で斬り捨てましょう。」

と物騒な台詞を吐くアスランさん。

実はこのパーティの中で一番キレているのはアスランさんなのかもしれない。

馬鹿共は無視してオアシスにある簡易宿で私達は泊まる事にした。

イオンとシンク、私とアスランさん、女性陣の三部屋。

モンスターは野生へ戻れば良いし、根暗マンサーは一応仮にも軍人なのだから不寝番をさせた。

あの非常識の中でアクゼリュスまでの道程を行かなければならないのだ。

彼等に対しての愚痴と不満を言い合い私達は互いを名前で呼ぶようになった。

ちなみに私がハルキ・ヴィスペリアである事もレプリカであることもバラした。





***********

瘴気に包まれたアクゼリュスは悲惨の一言に尽きる。

マルクトにキムラスカ側の街道の使用を許可した事を事前に告げてあったのでマルクト兵がオラクル兵と共に避難をしていた。

ちなみにオラクル兵がアクゼリュスにいるのは導師イオンが正式に両国から和平の橋渡しとして協力を要請されたからである。

きっとシアンがキムラスカとマルクトの両方に恩を売れる機会だと嬉々として兵を派遣したのだろう。

「親善大使一行の方々ですね。」

六神将のディストは片膝を付いて

「ローレライ教団 神託の盾オラクル騎士団所属六神将が一人、ディストと申します。ルーク様、アスラン将軍。導師イオン、シンク謡士もご無事で何よりです。」

礼を尽す姿は常識人に見えた。

同じくディストの隣で跪拝するアリエッタも自己紹介を終えると

「住人の9割、避難が終りました…」

拙劣ないながらもキチンと報告をする。

アリエッタの言葉をディストが引継ぎ

「住人はタルタロスとハルキ様が手配して下さったガイアとノアに収容しました。しかし14坑道に逃げそびれた住人がいるようです。」

崩落も既に時間の問題であった。

そして瘴気を中和するパステルクウォーツ(音機関)を用意ても第七音素で造られている私やイオン、シンクには危険な場所に違いない。

「物資は足りてますか?」

瘴気中和剤や食料などの物資も一万という膨大な人を支えるには少々不安が残る。

アリエッタが

「ルーク様、薬を沢山用意してくれた、助かった、です。」

ニッコリと嬉しそうに笑った。

「なら良いんだけど…14坑道はどうするべきか……」

助けに行くにしても彼等はヴァンによって殺されているだろう。

が、未来を知っている事を言えるはずもなく、私は沈黙せざる得なかった。

「だったらディストやマルクト兵に任せれば良いんじゃないの?」

シンクの提案に

「そうですね。態々ルークが危険な場所に行く必要はありませんし、僕達は先にタルタロスへ戻っておきましょう。」

イオンが同意した。

「ディスト、アリエッタには悪いが14坑道の確認をしてきてくれるか?終ったら直ぐに戻って来て欲しい。」

そう決断を下すと非常識軍団がギャイギャイと喚きだす。

あぁ、煩いったらありゃしない!

ディストとアリエッタは珍獣を見るような眼で彼等を見た。

イオンやシンク、アスランさんは悟りを開いたかのように達観すらしている。

そして眼を離した隙に彼等は無駄な正義感も燃やし勝手に14坑道へ向った。

その後、アクゼリュスは自然崩落しヴァン・グランツはディストの超強力になった封印術の前に膝を付き、アリエッタの友達に噛まれながらタルタロスへ帰還した。

非常識共がどうなったか?

魔界(クリフォト)に落ちたんじゃないの?

そしたら万々歳なんだけど、あぁ…何か嫌な予感がする!!



その予感が大当たりし、ユリアシティへ着いた時に赤鶏+非常識軍団との再会を果す事となる。


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