バチカル
道中トラブルに巻き込まれつつ帰ってこれたバチカルに私は溜息を吐く。

黎明騎士団団長のジョゼット・セシルとキムラスカ第一師団師団長ゴールドバーグが出迎えてくれた。

「お迎えに上がるのが遅くなって申し訳ありません。」

流れるような跪拝に私は、やっぱりジョゼットだなぁ…と安堵し

「公爵家の子息が誘拐されたなんて国が混乱するからな。そうだろう?ゴールドバーグ将軍?」

ジョゼットを立たせゴールドバークに視線を向けた。

「その通りで御座います。」

怪訝な表情で非常識軍人+αを見ている彼等。

それもそうだろう。

「ヴァン・グランツはどうしてる?」

襲撃の日にヴァンこそタタルに飛ばされていれば良かったのに!

と思わなくは無いが、此処で逃げられても困るのでジョゼットに聞いてみれば

「公爵邸襲撃補助の為、身柄を拘束し地下牢に入れております。」

望んだ答えを返してくれた。

が、此処でそれを良く思わない似非軍人がいるわけで

「なっ!兄さんは関係ないでしょ!?どうして地下牢なんて酷いことするのよっ!?ちょっと!ルーク!!」

キーキーヒステリックに喚きだすティアにキムラスカとマルクトの常識ある軍人達はプチっと切れそうになった。

ジョゼットとゴールドバーク、アスランを手で抜刀を制止

「法は須らく万人に適用されるのが世の理。ガイ、彼等の罪状を述べよ。」

後ろで控えていたガイが

「ティア・グランツについては公爵子息誘拐、戦闘強要、殺人強要、不敬罪等他多数御座います。アニス・タトリンについては、導師誘拐補助及びタルタロス襲撃時に内通手引きをしていることが判明しております。身柄はマルクトへ引き渡します。ジェイド・カーティスについては、導師イオン誘拐、公爵子息に対し和平の取次ぎ強要、脅迫、戦闘強要、不敬罪があげられます。このままキムラスカに身柄を引き渡して貰って構いませんよね?フリングス将軍、導師イオン様?」

罪状の数にマルクト側は軍服と同じく真っ青になり、キムラスカ側はこれまた軍服と同じく怒りで顔を赤くした。

「勿論ですよ。元ダアトに所属している軍人だったとしてもダアトは彼等を一切擁護致しませんので安心して下さいね、ルーク。」

ニコニコとルークにだけ笑顔で笑うイオンに私は苦笑を漏らす。

「そうですね、ジェイド・カーティス大佐についてはマルクトは一切擁護しませんので好きになさって下さい。」

ニコニコと爽やかな笑みを浮かべ皇帝の幼馴染を切り捨てする発言に大丈夫か?と視線で問えば大丈夫です!と実に良い笑顔で返された。

上げた右手を合図に

「罪人を捕らえよ。」

捕縛の命を出した。

ジェイドと一緒にゴブリンも捕まったっぽい!

まぁ、捕まらなかったら不敬罪とかで首を刎ねる予定だったけどさ。


その後は割りとスムーズに街に入れたよ。

勿論、アスランさんは根暗マンサーと違って式服を持って来ているしね。

アスランさんとイオン達を屋敷に通して今後の事を話し合うことにした。

本当はアスランさんにはジョゼットとの時間を作ってあげたかったんだけどね…和平が成立したらジョゼットに有給をあげてマルクトへ視察と称した旅行でもして貰おうかな?

バチカルまでの珍道中の中でアスランさんから聞いた初恋の人!

アスランさんとジョセットかぁ〜良いカップルだと思うんだよね。


しかし束の間の休息も直ぐに打ち切られる事となった。


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