-SIDE イオン-
ハルキが居なければマルクトがキムラスカに戦争を吹っ掛けているとしか思えない所業の数々。
僕の誘拐から始まり、トラブルでマルクトに飛ばされたハルキに和平仲介を強要し断られたからと捕縛。
どれだけ子供なんですか!?
しかも文官を和平交渉に用意するのではなく、唯の左官で軍人。
戦艦で和平に赴いているんです!
って誰が信じるんですか?
ハルキがいても和平ではなくマルクトが戦争を吹っ掛けてきたって思うでしょう。
しかもハルキを人手が足りないから前衛に立たせ自分は後衛ですか…
アンチフォンスロット喰らった根暗マンサー・ジェイドは軍人から使えないその他に成り下がる始末。
怒りを通り越して呆れて空笑いしか出来ません。
王族であるハルキを前衛にするぐらいなら得体の知れないゴブリンを前衛にすれば良いのに!
と思った僕は到って正常だと思うんです。
どうせ六神将だし、ハルキを救出してダアトに帰るのも良いかも知れない。
「リグレット、ハルキが牢に入れられているので彼も助け出して貰えますか?」
僕を保護していたリグレットにハルキの状況を伝えると
「……導師イオン、ハルキ様が何故、牢へ??というか、何故此処にいらっしゃるのですか?」
パチクリとした表情で疑問を述べるリグレット。
それもそうだろう。
本来ならバチカルで来るべき日まで軟禁されている筈なのだから!
まぁ、たまーに家出をしているけども。
「ファブレ家を襲撃したティア・グランツと擬似超振動でタタルに飛ばされ、マルクトに保護を求めたら牢屋に打ち込まれました。」
ハルキの苦難の経緯を簡単に説明すれば、リグレットが般若になった。
「ティア・グランツですか…あの軍人の恥がダアトに喧嘩売っているのでしょうか?マルクトも賢帝と聞いてはいましたが、愚帝ですね。」
地の底を這うかのような低い怒声にオラクル兵がビクっと体を揺らす。
リグレットは兵にハルキを救出するように命じた。
が、ゴブリンが何を勘違いしたのか
「イオンを返して!!どうして和平を妨害するの!?タルタロスに乗ってた人達も殺して!」
ヒロイン面をして吼えた。
リグレットとラルゴはコイツ何を言ってるんだ?
と宇宙人を見るような眼でゴブリンを見た。
「導師イオン、アレは何ですか?」
困惑したラルゴの言葉に
「さぁ?異世界から来たと豪語する頭の痛いゴブリンです。」
僕の答えに納得した彼等。
「タルタロス乗員を殺したという妄想も凄いですね。妄想癖ティア・グランツ2号でしょうか?」
リグレットの辛辣な言葉に
「僕を奪還するにしても皆殺しの命令なんて出すわけがないでしょう。外交問題になりかねないのにそれすら理解出来ないんでしょうね…ゴブリンですから。」
投げ遣りに答えた。
ハルキに傷一つでも付けたらダアト式譜術でもぶっ放しましょうか。
「リグレット、マルクトには導師誘拐の旨、キムラスカ公爵子息に対し保護ではなく捕縛、和平強要、戦闘強要、不敬等をピオニー陛下へ抗議にして来て下さい。ラルゴ、ティア・グランツ、ヴァン・グランツ、アニス・タトリンは神託の盾騎士団から抹消するようにトリトハイムに伝えて下さい。シンクは僕の護衛をお願いします。」
ゴブリンの存在はそのまま無視しつつ、ハルキが保護されたのを確認しマルクトが何処まで恥を晒すのか様子見として兵を引き上げさせた。
和平って一体何でしょうね?
きっとダアトにいるシアンにはアリエッタが報告してるでしょう。
あぁ、マルクトが滅亡するのも近いかもしれません。
その前にゴブリンの討伐隊が組まれる事でしょう!