緑と青とペルソナ
予想外の自体です…

ダアトに行ったのは良いけど、被験者イオンに捕まりました。

あっはは!

って笑い事じゃないよ(涙)

被験者イオンじゃなくて赤鶏に用事があるんだよ!

巡業者を装ってダアトに入ったまでは良かったんだ。

ガイと逸れて道に迷った所で導師イオンの襲撃を目撃してしまったのが運の尽き。

導師守護役がいるから大丈夫かな?
     
って思っていたが一瞬の隙を突いて導師イオンに攻撃が中りそうになったので慌てて

「ディバインセイバー」

譜術で敵をぶっ飛ばした。

景気良く吹っ飛んだ賊とポカーンと乱入者である私を見るイオンとアリエッタ。

じゃ、これで!

と立ち去ろうとした所

「待って下さい。」

物腰は柔らかいが有無を言わさぬ雰囲気を醸し出す言葉に私は肩を落とした。

正直、関わり合いたくないのが本音だ。

「……導師イオン、ご無事で何よりです。」

流れるような跪拝をすれば

「貴方は僕の恩人です。顔を上げて下さい。」

イオンの言葉に顔を上げれば驚いた顔をされた。

フードを被っているので髪の色は判らないと思うのだけど…。

「助けて下さり有難う御座いました。是非お礼をしたいのですが…」

う〜ん…何か裏がありそうで凄く怖いんですけど(涙)

しかも断らねぇーよな!って無言で圧力を掛けるのは止めて下さい。

「お気持ちだけで十分です。」

えぇ、本当に!

だって嫌な予感ヒシヒシするんだもん。

私の拒否も何のその、冒頭に戻るのであった。




被験者イオンに捕まって、私がキムラスカのルーク・フォン・ファブレである事がバレた。

今頃、街を必死に探し回っているだろう使用人のガイには申し訳ない。

「キムラスカの王位継承者が何故此処に?」

ま、警戒されるのは当然のことだわな。

「お宅のヴァン・グランツが攫った被験者であるルーク・フォン・ファブレを連れ戻しに着ました。」

真っ向から正直に白状するとイオンは額に手を当て

「謝って済む問題ではありませんが、ルーク殿、申し訳ありません。」

溜息を吐いた。

そりゃそうだろ。

私が導師の立場だったら自害しかねないわ!

ダアトとキムラスカの全面戦争になってもおかしくない状態なのだから。

「導師イオン、私がレプリカであると云う事は公爵は存じてます。ダアトと事を荒げるつもりはありませんし、キムラスカ王は預言尊守派な為、私がレプリカであれば破棄され父上や母上達にも迷惑が掛かります。ヴァンの動向とモースの抑制をお願いしたいのです。あと、私のことはハルキ・ヴィスペリアとお呼び下さい。」

そうすればアッシュとの接触だって可能だろうしさ。

紅茶美味しいね。

のほほんと美味しい紅茶に舌鼓を打ちながらイオンに協力を要請した。

イオンといえば

「それは構いませんが、被験者のルークは今はアッシュと名乗っておりヴァンにベッタリですよ。ですので、教団員として潜入してみては如何ですか?」

ニコニコと邪気のない笑顔を浮かべる。

まぁ、導師自ら許可が出たのだから了承を出したら翌日、何故か女性物の制服(導師護衛役)が届いた。

性別間違ってる!

と泣きながら抗議したが

「あの赤鶏に似ず似合って可愛いんだから良いじゃないですか♪」

と一笑されただけだった。

導師護衛役の制服着用した私を見てガイが何故か喜んでいたのは気のせいだ!




ヴァンは稚児趣味があるのかもしれないと思う今日この頃。

女装して半年が経過した。

あぁ、キムラスカに帰りたい!

あの糞鶏マジでヴァンにベッタリだな。

話しかけるチャンスすらない…

イオンの導師守護役として教団の仕事をガイと一緒に手伝わされ走り回る毎日。

勝手についた渾名がカンタビレ。

ついでに部下もいるそうだ。

何故、私のところに魔物討伐の遠征が入るのか甚だ疑問ではあるが人手が足りないと借り出された。

出かける前にアリエッタとイオンに散々忠告?や心構えなどを言われたような気がするがあまり覚えていない。

日頃の鬱憤を晴らすべく秘奥義コンボで連発して魔物を殲滅した。

魔物退治の近くでマルクト軍の演習があったようで魔物の被害を受けたとか。

私としては帰って寝たかったのだが、治癒士(ヒーラー)が負傷し回復薬も間に合わないとのこと。

まぁ、ダアトとマルクトの関係は悪くないし貸しを作るのも良いかなって事で軍基地に赴いた。

「マルクト帝国軍第二師団長のアスラン・フリングスです。ご協力感謝します。」

キチリとこなされた青の軍服には若くして上位階級の証が見えた。

「ローレライ教団神託の盾オラクル騎士団のカンタビレと申します。微力ではありますが、お力になれるよう努力致します。」

略式の礼を取り怪我人の所へ赴く。

屍累々ってか?

ざっとみて100名前後って所だろうか…上級譜術でも追いつかないだろう。

第六音素と第三音素、第七音素を練り合わせて行く。

「ツエルルヒリ!」

みるみる内に怪我が治癒されていく光景にアスランを筆頭にマルクト兵は奇跡を見た。

アスランと仲良くなったが自分が女装していた事をすっかりと忘れていた為、彼には性別を女と認識され再会した時にプロポーズされる未来が待っているとは知る由もなかった。





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