《我が淦(あか)の子を侮辱するとは何と罪深い事か!星を滅ぼす愚か者共よ、その醜悪な姿を世界に曝すが良いっ》
怒り狂ったローレライがユリアが残した秘預言を読み上げキムラスカからアクゼリュス救済までの惨劇をオールドラントに住まう全ての存在に真実を視(み)せる。
《レプリカと蔑む者共よ、レプリカこそ我が愛しき光の子。傷付けてみよ、星が滅ぶ前に我等が滅ぼしてくれようぞ。》
と宣言して地核に引き篭もった。
てっめぇ、散々引っ掻き回して後処理は私に丸投げかよっ!
マルクトの首都グランコクマのにある王宮。
ピオニー・ウパラ・マルクト九世との謁見中に赤鶏とコスプレ軍人、偽姫ナタリアになんちゃって導師護衛役が乗り込んできた。
唖然・呆然である。
此処まで常軌を逸しているとは思わなかった。
先ず、ティアとアニス。
お前等高々一平卒が何故此処にいる!?
次に赤鶏と偽姫ナタリア。
一応仮にも貴族出身と王族出身だっただろう。
他国の王が目の前にいるにも関わらず礼の一つも取れないのか?
と云うか、アッシュお前はマルクトのタルタロスの襲撃で身柄をダアトから要求されてんだぞ!
どうして堂々と此処にいる?
イオンは絶対零度の微笑みを浮かべ、ジェイドは軽蔑の眼差しを向け、ガイに到っては抜刀しかねないぐらいの殺気を放っていた。
空気が読めない馬鹿共は私を罵倒し、アクゼリュス崩落は私の罪だと宣った。
隣にいたアスランから表情が抜け落ち謁見の間は氷点下と思うぐらい寒い。
「要約すると親善大使であるルーク・フォン・ファブレ殿がセフィロト内部にあるパッセージリングを超振動で破壊し、そこに住まう民を巻き込みアクゼリュスを崩落させた…と言いたいのか?」
ピオニーの温度のない声に私はマジ切れしてると確信した。
頼むから空気を読めよオリジナル!
「そうだっつってんだろーがっ屑がっ!」
不敬罪追加!
キムラスカよりは上下関係緩いけどさ、一国の王を屑呼ばわりかよ。
お前、本当に私のオリジナルなのか?
マルクト兵が殺気立っているのに何故平然としていられるんだ。
「生憎だが超振動は観測されていないと報告を受けている。」
淡々と事実を突き付けるピオニーに
「そんな事ありませんわ!現にアクゼリュスは崩落したではありませんかっ」
「そーよ!ルークはアクゼリュスの民を見殺しにした大罪人だよぉーサイテ〜」
「そうです。早くルークを捕まえて下さい!」
喧しく喚くティアとアニスとナタリア。
「アスラン、ジェイド真相を嘘偽り無く語ってくれ。」
ピオニーは喚く彼等を一瞥しアスランとジェイドに説明を求めた。
「ルーク様は私達と共にアクゼリュス救済活動をされておりました。罪人でるグランツ兄妹とアニス・タトリンを牢に入れましたが、そこにいらっしゃるナタリア姫が彼女達を牢から連れ出し一時期行方が分からなくなりました。」
アスランの言葉を引き継ぐように
「9割方救助が終わった頃に14坑道にまだ人が取り残されていると情報が入りセシル将軍の部隊が確認に行った所、虐殺された民と罪人が一緒にいました。状況からして彼等が我がマルクトの民を虐殺したのでしょう。セシル将軍に捕縛されタルタロスへ戻った時にアクゼリュスが『自然崩落』したのです。」
事実だけをジェイドが語る。
「そんな事してないわ!」
「ルークに騙されているのよ!」
「彼等に何を吹き込んだんの?」
「この劣化の屑野郎がっどこまで腐ってやがるんだ!」
等などお言葉を貰った時、ピオニーが切れる前にローレライがブチっと切れて冒頭に到るのであった。
言葉にも出来ないほど醜悪なそれに嫌悪・侮蔑・軽蔑など様々な視線が被験者アッシュ達に突き刺さる。
「罪人を捕縛せよ。」
ピオニーの命令に一斉に兵士達がアッシュ達に飛び掛った。
自分が正義だと喚く赤鶏達は謁見の間から強制排除された。
「オールドラントが滅ぶのも致し方ないのかもしれんな…」
ポツリと零されたピオニーの言葉に
「陛下、私はこの世界が好きですよ。」
まだまだ生きたいんだからさ、星が滅亡したら困るんだよと本音と建前を使い分ける。
「それにジェイドには感謝してるんですよ。私を生み出してくれたんですから、ジェイドありがとう。」
ん?
私が礼を言うのがそんなに意外かよ!
てーか、何故固まる?
「キムラスカも変わります。マルクトもダアトも良い方向へ変えて行くのでしょう?」
そう問えば
「そうですね、預言のない世界に変えていきましょう。」
イオンが同意し
「そうだな、皆が笑顔でいられる世界に変えなくちゃな。」
ピオニーが頷いた。
「では、キムラスカとの和平は成立ということで構いませんか?」
「勿論だ。」
「その言葉を聞けて安心しました。問題は外殻大地の降下、瘴気中和、ローレライの解放ですがキムラスカ側からは私とセシル将軍とシュリダンが協力致します。」
今頃、キムラスカではクーデターが起きているだろうし外殻大地の降下は父上の了承を得ている。
「ダアトからは僕とシンク、アリエッタ、ディストが協力しましょう。」
イオンが協力を申し出た。
「マルクトからはジェイドとアスランを使ってくれ。」
ピオニーが必要な物を全て揃えてくれたりしたので結構有難かった。
神に等しいローレライがレプリカを光の子と愛おしむ気持ちとハルキの(一見)慈悲深い行動が被験者とレプリカの地位の逆転させる事に一役買っていることにハルキは気付いていない。