-SIDE ピオニー-
アスランが連れて来た黒猫がキムラスカとの戦いで活躍した英雄だと報告を受けた時、優秀な軍人である彼の頭を俺は疑った。
だってそうだろう?
何処の世界に百戦錬磨の兵士と渡り合い譜術を使ってフルボッコにして勝利するんだよ。
しかし、戦場に赴いた兵士達は挙って黒猫をマルクトの英雄だと褒め称えた。
俺は思った。
集団で幻覚でも見たのか?
どこぞの預言を掲げる宗教団体ではあるまいし!
そんな彼女と俺の出会いは、街まで散歩していた時だった。
まぁ、気分転換だったんだよ。
毛並みの良い黒猫だなぁ〜ってその時は思ってたんだけどな。
王都とはいえゴロツキはいる。
見目の良い黒猫も売れば良い値段になるだろう。
運悪くゴロツキに絡まれた黒猫を俺は憐れに思って助けようとしたんだ。
が、俺が助ける前に黒猫は俊敏な動きでゴロツキを沈めトドメとばかりに上級譜術をぶちかました。
追い討ちを掛けた黒猫を鬼だ!と思った俺は悪くない。
黒猫は俺に気付いていたようでジーっと俺を見ていた。
何だ?と思って首を傾けると
「陛下、こんな所にいたんですか?随分探しましたよ。」
ニッコリっと笑顔をアスランが気配を殺して立っていた。
超怖い!
しかもアスランは黒猫に
「陛下にお仕置きしちゃって下さい。」
と宣った。
上級譜術を喰らった俺は半分意識朦朧とした最中で
「さて帰って椅子に縛り付けましょう。」
アスランの非情な言葉を聞いた。
首根っこを掴まれて引き摺られる俺は皇帝だよな!?
と朦朧とした意識で思ったのは致し方ない事だ。
きっと彼女は飼い主に似たのだろう。
称号:鬼畜