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-SIDE 一兵卒A-


フリングス少将が連れてきた風変わりな黒猫。

敗戦の色が濃かったキムラスカとの戦争で戦況を引っ繰り返したとか…。

正直、眉唾ものだと思っていた俺の感覚は普通だと思う。

が、目の前の光景を見たら嫌でも実感せざる得なかった。

我がマルクトが誇る賢帝と名高いピオニー・ウパラ・マルクト九世陛下との仁義無き追いかけっこ。

「待てってばー」

しなやかに逃げ回る黒猫を必死になって追い掛ける陛下。

後ろから本日の護衛が必死になって走っている。

障害物も何のその、ヒョイヒョイと乗り越えて王宮内を駆け抜ける黒猫は決して王宮の外には行かない。

最初は偶然か?

と思ったが黒猫は陛下の立場を理解しているようで、さり気無く隠れている刺客を譜術で倒したのは周知の事実だった。

そしてチリリと感じた殺気に反応した黒猫が上級譜術であるディバインセイバーを敵に打ちかます。

プスプスと消し炭になった侵入者は手際良く俺達に捕獲された。

これも毎度のことなので、今では誰も驚かない。

「良くやったな〜」

と黒猫を抱き上げて褒めようとする陛下にベシっと猫パンチ。

揺れている尻尾の先には絶対零度の微笑みを浮かべたフリングス少将。

「陛下なに遊んでいるんですか?」

ニコニコと笑いながら陛下の首根っこをムンズと掴んで執務室に引き摺って行くフリングス少将の隣をトコトコと歩く黒猫。



ペットは飼い主に似るらしい。



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