警告します。
死・グロ・暗い話になります。
救いは一切有りません。
主人公を含め全てに厳しいエンディングとなってます。
苦情・異議申し立ては受け付けておりません。
自己責任で閲覧願います。
本当に宜しいですか?
責任は持ちませんよ?
-SIDE マリア-
瘴気で包まれていた世界は蒼を取り戻し、平穏を取り戻していた。
瘴気中和をしたのは、世界を救ったケムダーの聖女とダアトの特務師団長、元キムラスカ王族の子供である。
元キムラスカ領はマルクトとダアト、ケムダーに吸収されていった。
人々は予言から離れていき自分の意思で明日を模索して生きている。
しかし予言から離れられない人も沢山存在するわけで、特にキムラスカは酷いものだった。
元々予言を重要視してないマルクト、数年前より予言脱却を図っていたダアト、予言を捨てた者達が集うケムダーは予言中毒者が存在しなかった為、新たな民となり受け入れた元キムラスカ人の予言依存に辟易したぐらいだ。
だからこそ失念していたと言える。
人というのは自分の都合の良い様に考え行動する生き物だと謂う事を…
ユリアが残した予言は惑星消滅ではなく、キムラスカ繁栄であり、キムラスカの聖女とローレライを殺したケムダーの聖女と呼ばれているマリアに対し不穏な感情を持っていた。
特に元キムラスカの貴族達は快く思ってなかったのだろう。
マリアを殺せば、キムラスカを取り戻せると考えた愚か共達は、あろう事かマリアを浚った。
水の首都マルクトに滞在していたマリアは、あの日から日課になった祈りを捧げにグランコクマを見渡せる小高い丘に足を運ぶ。
身重になった身体で出歩くのは、と周囲に諌められるがこればかりは譲れなかった。
全てを奪われ、奪い返し、業を背負って生きて行く。
幸福なんて手に入らないと思っていたからこそ、この身に宿る命に幸せを実感した。
自分の欲望で奪った命に黙祷を捧げるのがせめてもの私の償い。
私は黄色の小振りの花を咲かせたユーフォルビアを添えて祈りを捧げた。
子供を宿す前の私なら気付いただろう気配に私は気付く事が出来なかった。
鈍器で頭殴られ意識を失う。
次に意識が戻った時には、磔にされ身動きが取れない状態だった。
「キムラスカを滅ぼした魔女め!!」
憎悪と殺意を滲ました視線が突き刺さる。
投げ付けられる石は私の身体に次々と当たっていった。
流れる血にお腹の子も私も死を免れる事はないだろうと悟る。
「お前がキムラスカを滅ぼしたんだ!聖女なんかじゃねー」
鉄の棒で膨らんだ腹を力一杯殴る男に子供が!!
と悲鳴を上げた。
私の態度に調子に乗った彼等はニタニタと厭らしい嗤いを湛え集中的に腹に暴行を加える。
全ての力と引き換えに宿した子供を私は守る術が無く悔し涙を流した。
激痛で朦朧とする中で股から流れ出る体液に子供が流れたのを知る。
「……呪ってやる。」
ポツリ呟いた私の言葉に暴行を加えていた男が
「あぁ”?」
ギロリと私を睨み付けた。
「おいおい、この状況が解ってねぇーみてーだな。おい、火を持って来い!」
男の言葉に他の連中が松明を持って来る。
「ふん、魔女は魔女らしく火炙りの刑だ!キムラスカを滅ぼした魔女、死ね!!これでキムラスカは元に戻るんだ!」
藁に火が点けられ一気に燃え上がった。
全身を焼き尽くす痛みに私は声を張り上げ
「呪われるが良い!ユリアの予言通りに星の消滅を望む者達よ。その道の通りに苦しんで死ね!」
怨嗟の言葉を吐く。
最期まで私は復讐者だったのだ。
復讐姫(ふくしゅうき)は、泣きながら世界を呪った。
大切な者達が生きる世界を呪う己の醜い心を嘲笑いながら…
-SIDE ピオニー-
マリアが理不尽な処刑をされ、世界に異変が起きた。
大地は枯れ、川や海は氾濫を起し、昼夜逆転するように陽が昇り続けたかと思えば闇に覆われる日々が続いたりと人々は恐怖する。
特にマリアを慕っていた者達は、マリアを護る事が出来なかったと自害する者が続出した。
ケムダーに住まう者達はアニスを筆頭にマリアの死に殉じ、今は荒野となり果てている。
ダアトは導師がマリアを処刑した首謀者及びアッシュ、アルス、ルナを除きキムラスカ人を処刑した。
シュザンヌ婦人は自ら首を差し出したと聞く。
「好いた女一人守れん男なんざ最低だと思わんか?」
アスランとジェイドに尋ねれば二人揃って沈黙した。
「マリアがいない世界なんざ滅べば良いさ。」
狂気を交えた俺の言葉に二人の眼が揺れる。
「今なら神に唾吐けるぜ。マリアを死ぬのを見ていたんだからな。オールドラントはユリアの予言通りに滅びるだろう。民には触れを出してある。俺はもう逝くがお前等はどうするんだ?」
俺の言葉に
「勿論、お供しますよ。」
「ピオニー貴方だけでは心許無いですからね。」
アスランとジェイドは渡された毒を手に取った。
「じゃ、あの世でマリアを捕まえに逝くか!」
俺達は毒を仰いだ。
これぐらいの苦しみはマリアが背負った苦しみよりも随分と軽いものだ。
朦朧とする意識に思うのはマリアの事だけ。
王を捨てた男、復讐姫(ふくしゅうき)を愛した男、恋という気持ちを知った男は星と共に消滅(し)して愛しき女の下へ彷徨う。
-SIDE オリジン-
やはり人は愚かとしか言いようの無い。
どんなに間違いであろうと己が正しいとばかりに行動する者達。
マリアという女は異質であった。
復讐を糧に神殺しをした女は、どこまでも清廉で真っ直ぐであった。
人にしたら醜いと罵るであろうが、己の信念を曲げずに唯一つの希望だけの為に手を伸ばし続けた女。
潔い性根は、人間嫌いの我が眷属達からも愛され、その生を祝福されていたのだ。
精霊と交わした契約の子供は、我等の子同様であったのにも関わらず愚かな人間共は我等の子を殺したのだ。
赦せるものか!
地獄を味わって消滅(し)ぬが良い。
あぁ、だがマリアが愛した者達はどうするべきか…
あの者達は人間にしては見所のある者達ばかりだった。
一部の人間はマリアに殉じ死を選び音素帯へ昇ってきたが…
星が消滅するのは決定事項。
滅び行く星を見下ろし我は一考する。
ユラユラとオリジンは滅び行くオールドランドに手を翳した。
人を呪わば穴二つ。
復讐の魔女は、予言に溺れた者達の手によって討ち取られた。
魔女が星自身であった事を誰が知ってただろうか…
かくしてオールドラントは滅亡の一途を辿る事となる。
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追記:
オリジンがマリアが愛した人間に何をしたのかはご想像にお任せします。
マリアが宿した子の父親は、○○(アナタの好きなキャラ)です(笑)