ローレライの残した呪いは、オールドラントを多い尽くした。
人によって生まれた瘴気(業)はローレライの呪いを得て勢いを増し、世界上の全ての生き物を滅する如く生命(いのち)を摘み取っていく。
ILLUSION CITY(幻影都市)にダアト、マルクト、ケムダーの代表者達が集まり世界を救う話し合いが設けられた。
「全く忌々しいものですね。」
消滅したローレライに悪態を吐くエーメは、導師の仮面をかなぐり捨てている。
「本当にな。2000年も神として崇められていたんだ。不要(いら)ん置き土産を置いていきやがって良い迷惑だ。」
こちらもまた皇帝の仮面に皹が入っていた。
「何か良い案は無いのでしょうか?」
ケムダーの長として板について来たアニスの言葉に一同が沈黙する。
大量の第七音素と超振動があれば瘴気中和する事は理論上可能だ。
しかし実行者がアッシュ、ルナ、アルスに限られ、実行者は死ぬというオマケ付き。
超振動のコントロールは難しく成功する確立は1%を切る。
「サフィール、ジェイド、お前等何か良い案は無いか?」
学者代表として同席を許可されている二人に助言を求めるも
「ありません。」
「無いですねぇ。」
二人揃って否定の言葉を放った。
「単なる瘴気だったら何とかなったんですけどね。」
ポツリと呟くディストの言葉を
「ユリアの呪いか、キムラスカの聖女様の呪いか、瘴気には確認されてない物質が発見されたんですよ。」
ジェイドが引き継いで説明する。
忌々しいとばかりに一同が表情(かお)を歪めた。
「一つだけ方法が有ります。」
私の言葉に一斉に視線が集まる。
「駄目だよ。」
まだ何も告げてないのにエーメに駄目出しをされた。
チラリと助けを求めるも
「俺も賛成出来ないな。」
却下とばかりに切り捨てる。
「私も許可を出せません。」
アニスでさえも駄目だと言われ、私ってそんなに信用無いかしら?
と首を傾ければ
「「いつも無茶をする貴女(お前)に任せておけん(おけません)」」
ステレオでアッシュとアスランから留めを刺された。
「私一人だけでするわけじゃないのだけれど…」
ムゥっとばかりに言えば、ジェイドがパンパンと手を叩き場を治め
「聞くだけ聞いてみては如何です?無謀なら拉致監禁すれば良いでしょう。」
何やら物騒な事を言われた。
でも聞く体勢になってくれたので
「精霊王オリジンと精霊マクスウェルを召喚させる。協力者としてユッグとティアの大譜歌が必要になるけれども…(彼女達には)リスクは無いわ。」
まぁ、ほぼ私がするんだけどね。
「本当にリスクはないんですね?」
エーメの言葉に
「私の名に誓って。」
ニッコリと笑みを浮かべ是と答えた。
私が持つ名がどれほど重いのか知っている彼等だからこそ
「解った。マリアに一任する。」
「ユッグとティアには僕から伝えておきます。無茶だけはしないで下さいね。」
「世界を救って下さい。」
彼等は止める事を止めた。
ユリアの子孫、復讐の魔女の呪唄により精霊の力を借りて世界は蒼を取り戻した。
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美しい蒼い空をマリアは見詰る。
復讐に駆られた人生だった。
神殺しの咎の証は私の胸元に刻印されている。
年を重ねる事も死を迎える事も赦されぬ身に成り果てた。
それでも世界は優しい。
「マリア様、こんな場所に居られたのですか?アニス様達がお探しになられておりましたよ。」
フンワリと微笑むアザリーに私は笑った。
「ふふ、アザリーはいつも私を一番に見つけてくれるね。」
些細な事が嬉しいのだ。
人の輪より外れてしまった私を彼女はいつも気に掛けてくれる。
「当たり前です。マリア様は私の唯一無二の主なのですから!さぁ、皆様の下へ急ぎませんと拗ねてしまわれますよ。」
優しく触れる手に私はそっと握り返した。
「アザリー、有難う。」
いつかきっと私は復讐の報いを受ける事だろう。
でも今は束の間の幸せを感じていたい。
私は彼女の手を引かれ彼女達が待つ部屋へと向かった。
「ママ!」
「マリア姉様!」
「マリア様!」
ギュウギュウと抱き着いて来る彼女達に私は笑顔を浮かべる。
大切な、大切な、私の家族。
愛しているわ。
いつかその咎を受けるその時まで、ずっと傍にいると誓おう。
美しく微笑む彼女は、後の世で星の聖女と謳われる事となる。
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追記:
アビスEndでは、ケムダーにマリアさんは身を寄せています。
ユッグとアッシュとアルスはダアトでエーメ達の補佐。
ティアとアリエッタはマリアを追ってケムダーへ。
アニスの手伝いをしています。
シンクとルナは各地を放浪中。
ちょくちょくケムダーに入り浸っている。
ラルゴとリグレットが結婚し、ダアトでも鴛鴦夫婦になりました。
ディストはサフィールに戻ってマルクトで扱使われ、ピオニーはマリアに会う為に度々脱走。
ジェイドとアスランで阻止するというのがマルクトの日常。
その内、誰かとマリアが結婚すれば良い。