星の剣(エクスカリバー)


-SIDE マリア-


キムラスカ王城謁見の間まで辿り着き、キムラスカ王を星の剣(エクスカリバー)で刎ねた。

本来であれば后妃または王女が座す玉座にしがみ付いている彼女を見て嗤う。

散々キムラスカの聖女と崇められていたのにも関わらず、彼女は何一つ満足に護る事が出来なかったのだから!

「何て酷い事をするの!!」

キムラスカ王の血を浴びて真っ赤に染まっているのに彼女は何処か別次元の事だと認識しているのかしら?

「酷い事?」

私はクスクスと嘲笑(わら)いながら彼女に聞いた。

「貴女はキムラスカの聖女様なのでしょう?でも王も民も守らず権利だけ求める貴女の方が罪だと思うのだけれど?」

血に濡れた星の剣(エクスカリバー)を彼女に向け

「貴女はキムラスカに住まう民を王を見殺しにしたじゃない。」

現実を突き付ける。

「違う!違う!私は見殺しなんてしてない!」

狂ったように否定の言葉を紡ぐ聖女様。

ねぇ、気付いているかしら?

貴女を見詰る民の眼に温度が無くなっていく事を!

そして覚えてないのかしら?

貴女と貴女を守護する神(ローレライ)が私の子を殺めた事を!

辛うじて私は生き延びる事が出来たけれども…

「…そう、でもこの世界に貴女も神(ローレライ)も不要(い)らないの。」

だから消滅(し)んで、と告げれば

「あ、貴女!あの時の魔女ねっ!!ルーク達を誑かして世界滅亡を望んでいるのね!」

何だか斜め上の思考回路な発言をされた。

会話が噛み合わない。

この世界で星の滅亡を望んでいると認識されているのは貴女達なのに、愚かなものね。

彼女の背後霊の如くユラリと揺らめき敵意を見せる神(ローレライ)に私は失笑した。

先ずは後ろ盾を消しましょうか…


魔女の意思に呼応して煌きを増す断罪の剣(エクスカリバー)



-SIDE ローレライ-



我は心優しい娘を守る為に力を振るう。

しかし我の力を闇の心を纏う魔女が持つ剣の前に掻き消されてしまった。

「Mon soupir est souffle de Dieu. Ma chanson est une voix de Dieu. Mon intention est intention de Dieu. C'est l'intention de la condamnation... étoile dans la grande infraction qui a plongé le monde dans chaos.(我が吐息は神の息吹。我が唄は神の声。我が意思は神の意思。世界を混沌に陥れた大罪を断罪するは星の意思。)」

星が誕生し、祖になった精霊王と契約した者でないと織(し)る事の出来ない言語に私は驚愕する。

何故、我の希望を阻む悪しき者が古の言葉を織(し)っているのか!?

「Lorelei stupide. Les dieux sont colère qu'ils sont avec le temps de 2000, et répéter encore une erreur.(愚かなローレライ。二千年の時を越えて尚、過ちを繰り返すとは神々はお怒りだ。)」

第一から第六音素が魔女の周囲に集まりだした。

魔女が持つ剣に今は忘れ去られた召喚の譜陣が浮き出て光を放つ。

“何故お前は我の邪魔をする!許さぬぞ!”

我は譜陣を掻き消すように第七音素に働きかけた。

魔女を覆い尽くし、人には耐える事が出来ないであろう負荷を掛ける。

例え他の音素集合体の加護があったとしても耐えれるものではないだろう。

勝利を確信した我を嘲笑うかのように魔女の持つ剣が空間を裂いた。

「Je ne projette pas de demander l'autorisation. Rassemble-toi avec une réputation de l'apparition du roi d'une origine de la personne vivante et c'est mémoire et l'intention de l'étoile. Repousse l'obscurité de l'étoile; aide il; Excalibur!(赦しを請うつもりはない。精霊王オリジンの名の下に集え、星の記憶と意思よ。星の闇を打ち払う力となれ、エクスカリバー!)」

淡々と感情の篭らない声が響く。

我の力は魔女の持つ剣に吸収されるように消えていった。

振り下ろされた剣を前に我は成すすべも無く、我の意思と力は剣に吸収されていく。


“我は、我は、ただ愛し子を救いたかっただけなのだ!

何故?

何故?

何故、我が悪であるというのか!?

消えたくない!

まだ、我はするべき事がある!!”



精霊王オリジンの名の下に星の剣(エクスカリバー)が振り下ろされた。

ユリアと叫び消えた堕ちた神(ローレライ)は星の王と復讐の乙女によって断罪される。

妖しく輝く星の剣(エクスカリバー)。

それは、大罪の証。



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