アニスの決意
私は剣を手に取る。
それが例え大罪だったとしても私は剣を取るのを戸惑わない。
だってそれが私の生きる意味!
マリア様から貰った新しい名前、アニス・グレイス。
ケムダーの長となるべく努力を重ねた。
まだまだ実力はアザリーさんに及ばないけれど、いつかマリア様の為にケムダーの人々に受け入れて貰える様に努力するの。
「セラフィム、ケルビム、スローネはキムラスカ軍の背後に回れ。ドミニオンズ、デュナメイス、は此のまま前進する。エクスシアイは援護及び救護せよ。戦意無き者、及び負傷者はキムラスカといえど手当てをして捕虜とする。」
私の指示に各隊の隊長が頷く。
大丈夫、私だって戦えるんだもん。
マリア様に恩返しをして、私が貰った笑顔の分以上にマリア様を笑顔にしてあげるんだ。
「正義は我が元に有り!勝利は我が手に有り!今より悪しき魔女を飼うキムラスカを殲滅する!」
掲げた剣が重かった。
でも湧き上がる士気に私は表情(かお)を引き締める。
本当ならマリア様がこの場に立って指揮を執るはずだったんだ。
でもキムラスカの似非聖女とローレライの力を抑えるにはマリア様しかいないから…
マリア様がケムダーの後継者として選んでくれた私がするんだ。
私の身に合った剣は軽いけど、重い。
真っ赤に染まっていく世界、咽返るような血臭に私はグっと我慢した。
「アニス様、セラフィム隊がキムラスカの背後を取りました。」
報告を聞き
「解った。陣形を方陣に切り替え、ドミニオンズは私と共にキムラスカを挟み撃ちにする。デュナメイスは譜術で援護せよ!」
マリア様に教わった戦術を伝令に伝える。
後は混戦を極め、私達は勝利した。
マリア様、勝ちましたよ。
私、キムラスカの兵に勝ったんです。
でも、何でかな?
とっても嬉しくないの。
勝利を喜ぶ兵達に私は労いの言葉を紡ぐ一方で、私はこれで良いの?
と疑問が沸いた。
でも、悔いはないんです。
この手が紅く染まる事は最初から決まっていた事だと思うから…